セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-分子標的治療3

タイトル 肝P-239:

COX-2阻害剤による肝細胞癌再発予防の試み

演者 奥脇 裕介(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 中澤 貴秀(北里大東病院・消化器内科), 日高 央(北里大東病院・消化器内科), 高田 樹一(北里大東病院・消化器内科), 田中 賢明(北里大東病院・消化器内科), 南野 勉(北里大東病院・消化器内科), 渋谷 明隆(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【背景・目的】肝細胞癌は外科的肝切除やラジオ波熱凝固療法(RFA)により根治が得られても高率に他部位再発を来たし,予防法の確立が望まれて久しい.HCV陽性例では根治後のインターフェロン投与は有望であるが,年齢,肝予備能等により非適応例も多い.Cyclooxygenase-2(COX-2)は大腸癌をはじめとする様々な癌の発育増殖への関わりが指摘されている.肝細胞癌においてもCOX-2は増殖や血管新生に関与し,その阻害が腫瘍増殖の抑制や血管新生の阻害に繋がることが,様々な基礎実験等から示されている.そこで今回我々は肝細胞癌に対するCOX-2阻害剤の再発抑止効果について探索的検討を行った.【対象・方法】外科的肝切除あるいはRFAにて根治が得られた初発単発のC型関連肝細胞癌症例を対象とし,COX-2阻害剤(セレコキシブ200mg/日)を1年間投与し,再発の有無を前向きに検討した.評価項目は無再発生存期間,安全性とした.また背景をマッチさせたCOX-2阻害剤非投与例と比較検討を行った.本研究は当院倫理委員会の承認を受け行われた.【結果】2008年6月~2010年12月の2年半の登録期間内に20例が登録された.男性6例,女性12例で平均年齢は69歳.外科的肝切除2例,RFA18例.平均腫瘍径は21mmでChild分類はA 19例,B 1例であった.観察期間中20例中12例に再発を認め,無再発生存期間の中央値は29.1ヶ月,無再発生存率は1年85%,3年33%であった.投与期間中G3/4の重篤な有害事象は認められなかった.背景をマッチさせたCOX-2阻害剤非投与例の無再発生存期間の中央値は27.2ヶ月で投与例と非投与例では有意差は認められなかった(p=0.614 log-rank test).【考案】本研究ではCOX-2阻害剤における明らかな肝細胞癌再発予防効果は認められなかった.
索引用語 肝細胞癌, 分子標的治療