セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-疫学

タイトル 肝P-247:

肝癌患者の併存肝疾患認識に関する検討

演者 日野 直之(大分県立病院・消化器内科)
共同演者 河野 良太(大分県立病院・消化器内科), 和田 蔵人(大分県立病院・消化器内科), 秋山 祖久(大分県立病院・消化器内科), 高木 崇(大分県立病院・消化器内科), 西村 大介(大分県立病院・消化器内科), 加藤 有史(大分県立病院・消化器内科)
抄録 【背景】ウイルス性肝炎など慢性肝疾患の多くは肝硬変や肝癌へと進行するが,疾患に対する認識の不足から通院をしていない患者がしばしば見られ,初診時に進行癌を認める症例を多く認める.【方法】2001年1月から2012年10月までに当科で初発肝癌と診断した症例403例(男性264例,女性139例)について,肝癌の原因別(HBV・HCV・非B非C) に診断時の通院状況や背景肝疾患の認識の有無について検討を行った.【結果】肝癌診断時に進行例(StageIV)を認めた割合は,HBV関連肝癌は66例中25例(38%),HCV関連肝癌は236例中13例(6%),非B非C肝癌は103例中20例(20%)であり,HBV関連肝癌はHCV関連肝癌(P<0.001)や非B非C肝癌(P<0.01)より肝癌診断時の進行例が有意に多かった.また肝癌診断時に定期通院をしていた割合は,HBV関連肝癌は66例中33例(50%),HCV関連肝癌は236例中194例(82%),非B非C肝癌は103例中36例(35%)であり,HBV関連肝癌と非B非C肝癌はHCV関連肝癌より定期通院をしている患者の割合が有意に少なかった(P<0.001).肝疾患を認識している患者の割合は,HBV関連肝癌は66例中51例(77%),HCV関連肝癌は236例中216例(92%),非B非C肝癌は20例中6例(30%)であり,非B非C肝癌の患者が背景肝疾患を認識している割合がHBV関連肝癌(P<0.01)やHCV関連肝癌(P<0.001)より有意に少なかった.またHBV関連肝癌は肝疾患を認識しているにも関わらず定期通院をしていない患者の割合が49例中18例(37%)であり,他の2群(HCV:9%,非B非C:14%)と比べ有意に定期通院をしている患者の割合が少なかった(P<0.001).【結語】HBV関連肝癌の患者は,キャリアの認識をしているものの定期通院をしていない症例が多く,初診時に進行癌であることが多い.背景肝疾患の認識を持ち,定期通院の必要性を理解することが,肝癌の早期発見・早期治療にとって重要であると思われた.
索引用語 肝癌, B型肝炎