セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-その他1

タイトル 肝P-248:

高度進行肝細胞癌に対する放射線併用動注化学療法の有用性

演者 田中 宏典(徳島大・消化器内科)
共同演者 谷口 達哉(徳島大・消化器内科), 田中 貴大(徳島大・消化器内科), 友成 哲(徳島大・消化器内科), 高岡 遠(徳島大・消化器内科), 原田 利枝(徳島大・消化器内科), 佐藤 桃子(徳島大・消化器内科), 玉木 克佳(燈来会大久保病院), 三宮 勝隆(徳島大・消化器内科), 高山 哲治(徳島大・消化器内科)
抄録 【目的】門脈腫瘍栓を有する肝細胞癌に対する動注化学療法の有効性は過去に報告されているが,その効果は必ずしも十分ではない.一方,近年放射線治療技術が進歩し,肝細胞癌に対する放射線療法の有効性が高まりつつある.また,他癌種においては,抗癌剤と放射線の併用により高い抗腫瘍効果が得られることが報告されている.そこで本研究では,肝細胞癌門脈浸潤(Vp3/Vp4)症例を対象に行った放射線併用動注化学療法の有効性と安全性をretrospectiveに解析した.【対象と方法】高度門脈浸潤(Vp3/Vp4)を有する肝細胞癌に対して動注化学療法を行った38例を対象とした.内訳は放射線併用群が15例,動注単独群が23例,男女比29/9,平均年齢66歳,背景肝はHCV/HBV/アルコール/その他:15/9/6/8,Child-Pugh A/B/C:24/12/2,Vp3/Vp4:26/12,肝外病変あり:12例,全治療歴あり:25例.放射線照射は直交二門あるいは多門照射により30 - 50Gy,動注化学療法は5-FU/IFN-α-2a併用動注化学療法(FAIT) 19例,肝動注化学塞栓療法はCDDP 12例,MPT 7例であった.両群とも2-8コース(中央値 3コース)治療を行った.【結果】門脈腫瘍栓に対する奏効率は放射線併用群 75%,単独群 42%であり(p<0.05),肝内病変の奏効率は併用群62%,単独群38%であった(P<0.05).平均生存期間は併用群13.6カ月,単独群11.9カ月であった(p=0.08).副作用は併用群でGrade 3以上の骨髄抑制は2例認めたが,無治療で速やかに軽快した.Grade 3以上の肝機能障害,腎機能障害はみられなかった.【結論】高度門脈浸潤肝細胞癌に対する放射線併用動注化学療法は安全性の高い治療法であり,かつ高い治療効果が得られることが示唆された.
索引用語 肝細胞癌, 放射線療法