共同演者 |
石原 朗雄(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 長谷川 徳子(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 高田 良司(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 山井 琢雄(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 福武 伸康(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 榊原 充(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 今中 和穗(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 大川 和良(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 上原 宏之(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 井岡 達也(大阪府立成人病センター・肝胆膵内科), 村田 昌之(大阪府立成人病センター・放射線診断科), 中西 克之(大阪府立成人病センター・放射線診断科) |
抄録 |
【目的】肝細胞癌の主な治療法である肝動脈化学塞栓療法(TACE)において,肝細胞癌の画像上の形態が治療後再発に及ぼす影響を明らかにする.【方法】2011年1月より2012年6月までの間に,当科において,切除不能肝細胞癌に対しTACEを施行した30症例を無作為に抽出し,治療前の画像形態(パターン A,輪郭整単結節型,パターン B,輪郭不整単結節型, パターンC,多結節癒合型)を含む複数の因子(年齢,性別,肝疾患の原因(HCV vs not-HCV),総ビリルビン値,血清アルブミン値,プロトロンビン時間,ヘモグロビンA1c,過去の肝細胞癌に対する治療の回数,腫瘍の個数(1~3対4以上),腫瘍の最大径(30mm未満対以上))について,治療後再発への寄与の有無を検討した.【成績】Coxの比例ハザードモデルを使用した単変量解析で,p値が0.2以下を示したものは,肝疾患の原因,血中アルブミン濃度,血中総ビリルビン濃度,血中血小板値,血中PIVKA値(100 以下/101以上),腫瘍造影パターン(A+B vs C),腫瘍個数(3個以下 対 4個以上)の7項目.これらで多変量解析を行ったところ,有意の因子として造影パターン(HR 0.174, 95%CI 0.052-0.574, p=0.004)のみが選択された.Kaplan-Meyer法で造影パターン別の累積非再発率を検討したところ,パターンCにおいて有意に再発率が高値であった(Log rank, p<0.0001).【結論】多結節癒合型を示す肝細胞癌は,TACEの治療後の再発率が高かった.この集団に対する治療戦略は今後の肝細胞癌治療の重要な課題である. |