セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-その他1

タイトル 肝P-251:

肝細胞癌に対するミリプラチン投与の有効性と安全性の検討

演者 石田 仁也(国立西埼玉中央病院・消化器内科)
共同演者 小幡 和彦(国立西埼玉中央病院・消化器内科), 中尾 裕(国立西埼玉中央病院・消化器内科), 二上 敏樹(国立西埼玉中央病院・消化器内科), 根岸 道子(国立西埼玉中央病院・消化器内科), 竿代 丈夫(国立西埼玉中央病院・消化器内科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】ミリプラチンは2010年1月より保険適応となった肝細胞癌に対する新規抗癌剤であり,脂溶性で高い腫瘍滞留性と徐放性を有し,近年その治療成績に関して複数の報告がなされている.当院では2010年11月より,肝細胞癌に対してミリプラチンによる肝動注化学療法(TAI)を積極的に行っており,今回その有効性と安全性について検討を行った.【方法】2010年11月から2012年12月までに当院でミリプラチンによるTAIが施行され,治療評価が可能であった肝細胞癌患者計49例,129病変を対象とした.平均年齢69.9±7.9歳,男性/女性:32/17,背景肝疾患はHBV/HCV/NBNC:7/28/14,肝予備能はChild-Pugh A/B/C:30/19/0,臨床病期はStage1/2/3/4A・B:2/12/32/3であった.治療評価は原則治療後3ヶ月時点で肝癌治療効果判定基準(2009年改訂版)に準じて行い,有害事象(AE)はCTCAE v4.0を用いて評価した.【成績】ミリプラチン平均投与量は80.9±26.3mg,標的結節治療効果度(TE)はTE4/TE3/TE2/TE1:11/10/75/33,奏功率(CR+PR)10.2%,病勢制御率(CR+PR+SD)32.7%であった(CR/PR/SD/PD:3/2/11/33).治療前因子のうち,AFP<200ng/mLで16.7%,腫瘍個数≦3個で35.7%,最大腫瘍径≦30mmで20.0%と高い奏功率を示した.主なAEは発熱(49.0%),悪心・嘔気(22.4%),腹痛(14.3%),臨床検査値異常(AST増加(73.5%),ALT増加(65.3%),Alb低下(49.0%),T-Bil増加(34.7%),γ-GTP増加(34.7%))であった.AST増加,ALT増加,γ-GTP増加についてはGrade 3/4の症例も存在したが,全例保存的に改善を認めた.単回投与例と複数回投与例(2-7回)との比較では,複数回投与にて増加したAEはみられず,AEの出現頻度に有意差を認めなかった.【結論】肝細胞癌に対するTAIにおいて,ミリプラチン投与の有効性と安全性が示唆された.反復治療を必要とする進行肝細胞癌において,忍容性の高いミリプラチンによるTAIは有効な治療法と考えられた.
索引用語 肝細胞癌, ミリプラチン