セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

自己免疫性肝疾患1

タイトル 肝P-253:

自己免疫性肝炎(AIH)とAIH-PBC Overlap症候群における臨床的特徴の検討

演者 八幡 晋輔(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科)
共同演者 白川 裕(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 﨏本 喜雄(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 大内 佐智子(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 堀田 和亜(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 廣畑 成也(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 尹 聖哲(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科)
抄録 【目的】AIH-PBC Overlap症候群(以下Overlap症候群)の疾患概念は曖昧で診断基準も確定していない.Overlap症候群の臨床的特徴を明らかにすべく,AIHとOverlap症候群とを比較検討した.【方法】厚労省のPBC診断基準およびIAIHGのAIH国際診断基準(1999年,但しAMA陽性・胆管病変の減点項目は除外)のいずれも満たした症例をOverlap症候群と定義した.2004年4月から2013年2月まで当院で肝生検にて診断したAIH 64例の内,9例をOverlap症候群(O群),55例を純粋なAIH(A群)の2群に分けて検討した.【成績】O群9例の内,Paris criteriaでは5例がOverlap症候群から除外された.Zeniyaらの診断判別式では,2例はAIH,6例はPBC,1例はいずれでもなしと判別され,Overlap症候群に該当する症例はなかった.O群/A群での比較において,発症年齢,性差,肝機能,IgG等に有意差はなかったが,IgM 354/178mg/dl,重症度(軽症:中等症:重症)6:1:1/29:18:8例で,O群ではIgMが高く(P=0.0286),軽症例が多い傾向にあった.1年以上観察し得た症例(7/38例,観察期間中央値33.8ヶ月)の治療経過を解析すると,O群は3例がPSL,4例がUDCAで治療開始され,UDCAの1例のみが治療に反応したが,残り6例は治療抵抗性でPSL+UDCAの併用となった.A群は31例がPSL,6例がUDCA,1例がPSL+UDCAで治療開始され,治療抵抗性のためPSL群の2例でAZAを併用,UDCA群の3例でPSLを併用した.治療経過中にPSL+UDCA併用となったのはO群で6例(85.7%),A群で4例(10.5%)と有意差が見られた(P<0.001).両群において単剤では抵抗性となる例が存在するが,O群ではA群に比べてUDCAの併用が多かった.再燃はO群1例,A群16例で見られたが,両群とも早期から多剤併用を行った患者では再燃が少なく,併用治療が再燃を抑制しているものと思われた.【結論】Overlap症候群の診断にあたり各基準で差を認めた.Overlap症候群では初期からPSL+UDCAを併用することが有用と思われた.
索引用語 自己免疫性肝炎, AIH-PBC Overlap症候群