セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

自己免疫性肝疾患1

タイトル 肝P-254:

PBC-AIH overlap syndromeにおける合併症の頻度

演者 渡邊 幸信(日本大・消化器肝臓内科)
共同演者 松本 直樹(日本大・消化器肝臓内科), 三浦 隆生(日本大・消化器肝臓内科), 塩澤 克彦(日本大・消化器肝臓内科), 阿部 真久(日本大・消化器肝臓内科), 中河原 浩史(日本大・消化器肝臓内科), 中村 仁美(日本大・消化器肝臓内科), 山本 敏樹(日本大・消化器肝臓内科), 楡井 和重(日本大・消化器肝臓内科), 松村 寛(日本大・消化器肝臓内科), 松岡 俊一(日本大・消化器肝臓内科), 小川 眞広(日本大・消化器肝臓内科), 田中 直英(日本大・消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科)
抄録 【目的】自己免疫性肝炎(AIH)と原発性胆汁性肝硬変(PBC)は,肝を標的とする自己免疫性疾患であるが,中にはAIHとPBCの病態が同時性または異時性に共存する病態が存在する.これらの病態はPBC-AIH overlap,もしくは肝炎型PBCと捉えられているが,その臨床的特徴は不明な点が多く,診断基準さえ定まっていないのが現状である.今回我々はPBC-AIH overlap syndromeと考えられる症例における合併症の頻度について検討したので報告する.【方法】対象は当院においてPBC-AIH overlap syndromeと診断された16例とした.比較対象として当院においてAIHと診断された159例,PBCと診断された75例を用い,自己免疫性疾患,DM,LC,HCCの合併率について比較検討した.尚,抗ミトコンドリア抗体陽性,肝胆道系酵素上昇を認め,かつ簡易版国際診断基準スコアリングシステム6点以上の症例をPBC-AIH overlap syndromeと定義した.【成績】PBC-AIH overlap syndrome群/AIH群/PBC群で自己免疫性疾患の合併頻度は8例(50%)/35例(22.0%)/4例(5.3%),HCCの合併頻度は2例(12.5%)/2例(1.3%)/1例(1.3%),LCの合併頻度は4例(25.0%)/17例(10.7%)/4例(5.7%),DMの合併頻度は1例(6.3%)/32例(20.1%)/5例(7.1%)であった.自己免疫性疾患/HCC/LC/DMの合併頻度をPBC-AIH overlap syndrome群とAIH群で比較したとき,P=0.0310/0.0997/0.2014/0.1084,PBC-AIH overlap syndrome群とPBC群で比較したとき,P=0.001/0.1239/0.1315/0.216であった.PBC-AIH overlap syndrome群の自己免疫性疾患の合併頻度はAIH群,PBC群と比較して有意に高かった.HCC,LC,DMの合併頻度については有意差は認めなかった.【結論】今回の検討でPBC,AIHという二つの病態の共存が疑われる症例においては自己免疫性疾患の合併頻度が高いことが示唆された.このような症例では他の自己免疫性疾患の存在を念頭に精査を行う必要があると考えられた.
索引用語 overlap syndrome, 合併症