セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

自己免疫性肝疾患1

タイトル 肝P-255:

PBC-AIH overlap症候群の臨床病理学的特徴

演者 太田 肇(国立金沢医療センター・消化器科)
共同演者 吉田 真理子(国立金沢医療センター・消化器科), 羽柴 智美(国立金沢医療センター・消化器科), 矢野 正明(国立金沢医療センター・消化器科), 丹尾 幸樹(国立金沢医療センター・消化器科), 丸川 洋平(国立金沢医療センター・消化器科), 笠島 里美(国立金沢医療センター・臨床検査科), 川島 篤弘(国立金沢医療センター・臨床検査科), 原田 憲一(金沢大大学院・形態機能病理学), 中沼 安二(金沢大大学院・形態機能病理学)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)-自己免疫性肝炎(AIH) overlap症候群(OLS)の疾患概念や診断基準はいまだ確定していない.今回,OLSの臨床病理学的特徴について検討した.【対象と方法】肝生検にてPBCとAIHの病像を同時に認めた症例をOLSと定義した.同じく肝生検にて診断したPBCを比較対象として検討した.病理組織学的分類は中沼分類を用い,また両群の各種自己抗体の陽性率,合併症について検討した.【成績】OLS 7例は全例女性で診断時の平均年齢は69.4(57-78)歳で,PBC45例(男女比6:39)の58.3(19-78)歳に比し有意に高齢であった.OLS7例のうち5例はPBCと同時期発症,1例はAIH先行,1例はPBC先行で,ステロイド投与がなされていたAIH先行例を除く6例のIAIHG simplified criteriaはdifinite AIHであった.OLSは7例すべてが中沼分類stage2または3であったのに対し,PBCではstage 1:2以上=11:32であった.病理スコアではHAおよびFにおいてOLSで有意に高値(p<0.01)だったが,CA(p=0.11)・BDL(p=0.85)・OS(p=0.29)は両群間で差を認めなかった.血清IgG値はOLSで2921mg/dlとPBCの1785mg/dlに比し有意(p=0.03)に高値だった.自己抗体では抗平滑筋抗体の陽性率がOLSで有意(p=0.03)に高値だったが,抗核抗体・抗ミトコンドリアM2抗体・抗gp210抗体・抗セントロメア抗体の陽性率に差は認めなかった.OLSの合併症数は平均3.1 (2-7)でPBCの平均1.8(0-5)に比し有意(p=0.03)に多かったが,癌の合併は両群で差を認めなかった.OLS7例中4例がステロイド+UDCA併用,2例がUDCA単独治療,1例がUDCA+Beza併用療法を施行されていた.【結論】OLS はPBCに比し高齢で診断され,組織学的には肝炎性変化と線維化の高度例が多く,また他の膠原病などの合併症も多かった.
索引用語 overlap症候群, 自己免疫性肝疾患