セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
自己免疫性肝疾患1
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タイトル |
肝P-256:原発性胆汁性肝硬変,自己免疫性肝炎,オーバーラップ症候群におけるIgG,IgM免疫染色の検討
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演者 |
菊池 真大(東海大東京病院・消化器肝臓センター) |
共同演者 |
西崎 泰弘(東海大東京病院・健診センター), 鶴谷 康太(東海大東京病院・消化器肝臓センター), 濱田 郁子(東海大東京病院・消化器肝臓センター), 小川 高史(東海大東京病院・病理診断科), 塩澤 宏和(東海大東京病院・消化器肝臓センター), 青木 純(東海大東京病院・消化器肝臓センター), 松嶋 成志(東海大東京病院・消化器肝臓センター) |
抄録 |
【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC),自己免疫性肝炎(AIH) は小葉内胆管と肝細胞という標的部位の異なる自己免疫機序が関与するが,その中には2つの病態を重複して呈する症例が存在し,オーバーラップ症候群(OS)と呼ばれている.しかし,OSの診断基準は確立されたものはなく,AIH(International Autoimmune Hepatitis Group(IAHG)のスコアリングシステムやSimplified Criteria)やPBC診断基準を組み合わせたり,Paris CriteriaがOS診断に有用であるという報告もあるが,その妥当性は検証されていない.OSは1つのentityではなく,両者が合併した病態と理解されつつある.我々は,当院で経験したPBC,AIH,OS症例について臨床所見と組織学的所見を比較検討した.【方法】PBC診断基準により診断された7例,IAHG scoreやSimplified Criteriaで診断されたAIHの7例,上記診断基準を共に満たしParis Criteriaにも準ずるOSの7例について,診断時の臨床所見と組織学的所見を比較した.また,肝組織はIgG,IgM免疫染色を行い,門脈周囲の炎症細胞の陽性率を検出し,診断への有用性を検討した.【成績】OSは血清IgM高値例が多かった.血清IgGはOSよりAIH例で高かった.免疫組織学的所見は,AIH例では,ほぼ全例IgG染色陽性,IgM染色陰性であり診断に有用であった.PBC例は,IgM染色陽性に加えてIgG染色弱陽性のものが多く,一方,OS例はIgM染色陽性に加えてIgG染色はIgMと同等か強陽性になる例が多かった.また,OS例では初期よりPSL併用により予後が良好な群があった.【結論】OSは血清も組織も含めIgM陽性例が多く,PBCをベースにAIHがオーバーラップした病態が考えられた.肝組織において,AIHの診断にIgG染色は有用であった.また,IgM染色よりIgG染色が強陽性を示す症例についてはOSの可能性が高いと考えられた.IgG,IgM免疫染色を加えることで,PBC,AIH,OS診断の手助けになると考えられた. |
索引用語 |
PBC-AIH オーバーラップ症候群, IgG IgM免疫染色 |