セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
自己免疫性肝疾患1
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タイトル |
肝P-257:自己免疫性肝炎におけるIgG4の臨床的意義
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演者 |
荒瀬 吉孝(東海大・消化器内科) |
共同演者 |
加川 建弘(東海大・消化器内科), 安斎 和也(東海大・消化器内科), 鶴谷 康太(東海大・消化器内科), 広瀬 俊治(東海大・消化器内科), 白石 光一(東海大・消化器内科), 松本 光司(海老名総合病院・病理診断科), 峯 徹哉(東海大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】IgG4関連疾患に共通して認められる病理学的特徴としてIgG4陽性形質細胞浸潤がある.近年,自己免疫性肝炎(AIH)の中にIgG4陽性の形質細胞浸潤が多数認められる症例が報告され,IgG4関連AIHの疾患概念が提唱されている.今回,当院のAIH症例におけるIgG4の臨床的意義について検討した.【方法】AIHスコアリングがprobable以上で組織学的にAIHと診断された54例(年齢中央値61.5歳,男性9例,女性45例)を対象とした.診断時肝組織についてIgGおよびIgG4免疫染色を行い,既報と同様に3ケ所の門脈域を倍率40倍,10視野で観察して陽性細胞をカウントし,その平均値を計測した.治療前の保存血清が確認された22症例については血清IgG4を測定した.IgG4陽性細胞が3個以上をIgG4関連AIH,それ以外を古典的AIHとそれぞれ定義し,比較検討した.【成績】IgG4関連AIHは6例(11.1%)に認められた(それぞれ17.7,6.7,5.3,4.7,3.7,3.3個).IgG4関連AIHと古典的AIHの2群において,年齢(66.5vs60.5歳),検査値(ALT271vs164IU/l,T-Bil0.8vs0.7mg/dl,IgG2688vs2199g/dl),スコア(18.0vs18.5点),再燃率(33.3vs41.7%)に差はなかったが,IgG陽性細胞数(57.5vs8.45個,p<0.01)と門脈域炎症(p<0.05)にそれぞれ有意差を認めた.血清IgG4 高値例(135mg/dl以上)は2例(9.1%)認めたが,肝組織IgG4陽性細胞数との相関はなかった.低値例(135mg/dl未満)との各項目に有意差は認めなかったが,血清ALT値およびIgG値は血清IgG4高値例で高い傾向であった.全症例中,観察中の肝硬変への進展が5例(9.3%),肝細胞癌1例(1.9%),肝不全死2例(3.7%)認められたが,前例古典的AIH症例であった.【結論】当院の症例においてもIgG4関連AIHの存在が示唆され,それらは門脈域の炎症が強く,肝組織内のIgG陽性細胞数が多かった.今回の検討ではIgG4関連AIH の予後は比較的良い印象であったが,AIH症例をより集積してさらに検討を加える予定である. |
索引用語 |
自己免疫性肝炎, IgG4 |