セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

自己免疫性肝疾患2

タイトル 肝P-259:

男性PBC患者14症例の臨床的検討

演者 杉原 誉明(鳥取大・機能病態内科)
共同演者 的野 智光(鳥取大・機能病態内科), 植木 賢(鳥取大・機能病態内科), 孝田 雅彦(鳥取大・機能病態内科), 村脇 義和(鳥取大・機能病態内科)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)は慢性進行性の胆汁鬱滞性肝疾患で,中高年女性に好発するために,男性では鑑別に挙がりにくく,これまで男性PBCに関して詳細な検討は少ない.今回我々は1984年から2012年の間に経験した男性PBC患者14症例を集計し,その臨床的特徴,予後につき検討した.【結果】診断時の平均年齢は55±14歳で,発見契機は,健診・献血5例,他疾患観察中3例,黄疸1例,不明5例であった.飲酒(エタノール換算20g以上)歴は28%(4/14例)に認めた.診断根拠は抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性のみ/生検のみ/AMA陽性+生検=4/1/9例で,生検組織のScheuer分類ではI期/II期/III期/IV期 =4/1/4/1であった.症候性PBC(T-bil≧2mg/dl)は1例のみであった.診断時生化学検査ではAST62±34IU/L, ALT76±54IU/L, ALP 542±247IU/L, GGT390±299IU/Lであった,抗核抗体(ANA)陽性率は57%(8/14例)であったが,自己免疫性肝炎(AIH)の合併は1例のみであった.86%(11/14例)でUDCA600mg/日が投与され,経過観察例以外の残り2例はフィブラート単剤,Dペニシラミン単剤で加療された.1例では肝不全となり肝移植が行われた.肝癌を含む悪性腫瘍の合併率は21%(3/14例)であった.4例が死亡し,死因は癌死/他病死/肝不全死=2/1/1例であった.【考察】診断時の平均年齢は男性で高いとの報告があるが,今回は女性の平均年齢と同等であった.発見契機は肝機能障害の指摘が多かったが,男性で特に飲酒者ではAMAの測定や生検まで至らない場合も多く,今回の検討では比較的飲酒率が低い患者群であった事が診断に至った要因と考えられた.また男性では発見時進行例が多く,悪性腫瘍の合併も多いとされるが,今回の検討でも組織学的高度進行(III期/IV期)例は生検実施例の半数で認め,肝癌も2例で合併していた.男性PBC患者では女性に比べ難治例も多いとも報告されており,男性の肝機能障害例でもPBCを鑑別に挙げる事で,早期診断・治療が望まれる.
索引用語 原発性胆汁性肝硬変, 性差