セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

自己免疫性肝疾患2

タイトル 肝P-260:

原発性胆汁性肝硬変 (PBC)におけるヘリング管破壊と病期との関連について

演者 角田 優子(金沢大・形態機能病理学)
共同演者 原田 憲一(金沢大・形態機能病理学), 岡藤 啓史(金沢大附属病院・消化器内科), 池田 博子(金沢大・形態機能病理学), 佐藤 保則(金沢大・形態機能病理学), 佐々木 素子(金沢大・形態機能病理学), 水腰 英四郎(金沢大附属病院・消化器内科), 金子 周一(金沢大附属病院・消化器内科), 中沼 安二(金沢大・形態機能病理学)
抄録 【目的】へリング管は胆管系の最末梢枝であり,PBCでは早期からへリング管の破壊の見られることが報告されている(Human Pathology 2002, Hepatology 2012).へリング管の破壊とPBCの病期や臨床所見との関連性を検討した.
【方法】対象はPBC 62例 (男女比 8 : 54,生検時年齢 58 ± 12歳)で,すべて生検診断時に未治療.診断時の肝生検でCK19の免疫染色を行って各例でヘリング管数/門脈域数 (h/p)比を求め,h/p 比と新分類の組織学的指標や臨床所見との関連を解析した.また,対照として慢性C型肝炎 (n = 20),慢性B型肝炎 (n = 16)と比較した.
【成績】対象PBC例の内訳は新分類1/2/3/4期=11/35/9/7例で,h/p 比は各々0.53 ± 0.40,0.42 ± 0.34,0.16 ± 0.16,0.01 ± 0.02.h/p 比と肝炎活動度 (相関係数R = -0.396),病期 (R = -0.496)および胆管消失・オルセイン陽性顆粒沈着・線維化スコア (各々R = -0.536,-0.541,-0.409)と負の相関を示した (P < 0.01).生検時のALP,AST,T-Bil値と負の相関 (R = -0.281,-0.297,-0.307; P < 0.05)が見られ,生検時や経過中に腹水,高ビリルビン血症,胃食道静脈瘤の破裂/内視鏡的治療,肝性脳症,肝細胞癌,組織学的肝硬変のいずれかの出現を見た例 (n = 16)では,出現のなかった例 (n = 46)に比して有意にh/p 比が低かった.また,ウィルス性肝炎では線維化や活動度とh/p 比には有意な相関は見られなかった.
【結論】PBCでは病期進行に従ってヘリング管が減少し,臨床所見の進行と関連することが示唆された.また,組織所見の中ではオルセイン陽性顆粒沈着スコアがh/p 比と最も強い負の相関を示し,ヘリング管消失による胆汁流出路障害も反映していることが考えられた.肝幹細胞/前駆細胞 (stem/progenitor cell,SPC)はヘリング管および細胆管に存在するとされており,PBCでは病期進行に従いSPCも減少することが示唆される.
索引用語 肝臓, 原発性胆汁性肝硬変