セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

自己免疫性肝疾患2

タイトル 肝P-261:

経時的肝生検におけるPBC病理組織像と血液検査推移の比較 -Scheuer分類と新分類を用いての検討-

演者 小山 展子(川崎医大・肝胆膵内科)
共同演者 富山 恭行(川崎医大・肝胆膵内科), 日野 啓輔(川崎医大・肝胆膵内科)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)において近年Nakanumaらより新たな病期分類および胆管炎と肝炎に関する活動度分類(以下,新分類)が提唱された.今回われわれは,経時的に肝生検を施行し得たPBC症例に関し,肝胆道系酵素の推移と病理組織像の変化をScheuer分類と新分類を用いて比較検討することを目的とした.
【方法】1988年10月から2013年2月の期間に,当科で血清学的・組織学的に診断したPBC患者140例のうち,経過中に2回以上の肝生検を施行したのは18人であった.そのうち肝生検時の肝胆道系酵素の推移と,Scheuer分類及び新基準による組織学的変化の比較が可能であった11例を対象とした.平均観察期間は12.3年であった.初回と2回目の肝生検時におけるScheuer分類,線維化(A),胆管消失(B),病期分類(Staging),胆管炎の活動度(CA),肝炎の活動度(HA)について,病理組織像の変化を改善群,不変群,増悪群に分類し,T-Bil・ALT・AST・ALP・γGTPの推移を比較検討した.
【成績】病理組織像の変化は新分類のStagingでは改善群6人,不変群3人,増悪群2人であり,Scheuer分類では改善群4人,不変群5人,増悪群2人であり,両分類の結果が一致したのは11人中7人で,4人に解離を認めた.解離した4人のうち3人はScheuer分類では不変,Stagingでは改善群であったが,肝胆道系酵素は明らかな改善を認めていた.一方,残りの解離例(1人)は,Stagingでは不変,Scheuer分類では改善群であったが,CAやHAでは改善を認め,StagingとCA・HAを総合的に評価するとScheuer分類に一致する結果であった.またStaging改善群での肝胆道系酵素はいずれも改善し,また不変群においても肝胆道系酵素はいずれも改善を認めた.一方,増悪群の2例はともに肝胆道系酵素の上昇を認めた.
【考案及び結語】新分類はScheuer分類と比較して,PBC患者の肝胆道系酵素と組織学的改善の合致性の観点から,より有用な評価法であることが示唆された.
索引用語 PBC, 新分類