セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

自己免疫性肝疾患2

タイトル 肝P-262:

新分類(中沼分類)を用いた原発性胆汁性肝硬変の検討

演者 林 学(福島県立医大附属病院・消化器内科)
共同演者 高橋 敦史(福島県立医大附属病院・消化器内科), 今泉 博道(福島県立医大附属病院・消化器内科), 岡井 研(福島県立医大附属病院・消化器内科), 菅野 有紀子(福島県立医大附属病院・消化器内科), 阿部 和道(福島県立医大附属病院・消化器内科), 海上 雅光(わたり病院・病理科), 大平 弘正(福島県立医大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)における病理診断では,肝炎と胆管炎の活動度をそれぞれ評価し,線維化,胆管消失スコアなどから病期分類を行う新たな病理組織分類(中沼分類)が提唱された.本検討ではPBCの臨床病態と中沼分類との関連を明らかにすることを目的とした.【方法】PBC患者104例(女性83例,平均年齢55.5±11.3歳,平均観察期間73.5±63.8月)の肝組織所見を中沼分類(肝炎・胆管活動度,病期分類)で再評価し,病理所見と血液検査成績,治療内容および予後との関連を比較検討した.【成績】104例の胆管炎の活動度(CA)はCA0:33例,1:16例 2:9例,3:46例,肝炎の活動度(HA)はHA0:43例,1:32例,2:27例,3:2例,病期分類(stage)はstage 1:5例 2:54例,3:33例,4:12例であった.CAとHAにはr=0.47353,p<0.001で正の相関関係を認めたが,病期とはCA,HAいずれも有意な相関はなかった.肝炎軽度群(HA0-1:75例)と肝炎高度(HA2-3:29例)の2群で血液検査成績を比べるとIgMが軽度・高度群でそれぞれ435.4±235.6,654.6±357.4 mg/dlと肝炎高度群で有意(p=0.004)に高値であった.また胆管炎軽度(CA0-1:49例)と高度(CA2-3:55例)2群の比較でもIgMが軽度・高度群でそれぞれ360.3±185.4,609.8±315.8 mg/dlと胆管炎高度群で有意(p<0.001)に高値であった.一方,stage 1-2:59例とstage 3-4:45例の比較ではstage 3-4でALP,γGTP,TB,IgG,IgMが有意(p<0.05)に高値でAlbが有意(p=0.01)に低値あった.治療はウルソデオキシコール酸(UDCA)は全例,UDCAとベザフィブラート(BZ)の併用13例,ステロイド併用5例であった.UDCA単独とBZ併用の間にはCAやHAに有意差はなく,ステロイド併用例はHA2が2例,HA1と3が1例ずつであった.stage 1-2:59例とstage 3-4:45例の2群間で予後に有意差を認めなかった. 【結論】新分類(中沼分類)はPBCの臨床病態を反映することが示唆された.
索引用語 新分類, PBC