セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

薬物・アルコール性肝疾患

タイトル 肝P-263:

アルコール性肝障害における血小板数の解析

演者 狩山 和也(岡山市立市民病院・肝疾患センター)
共同演者 能祖 一裕(岡山市立市民病院・肝疾患センターDELIMITER岡山大大学院・分子肝臓病学), 湧田 暁子(岡山市立市民病院・肝疾患センター), 大西 理乃(岡山市立市民病院・肝疾患センター), 大山 淳史(岡山市立市民病院・肝疾患センター), 西村 守(岡山市立市民病院・肝疾患センター), 東 俊宏(岡山市立市民病院・肝疾患センター)
抄録 【緒言】2012JDDWにて我々は「Alcoholic HCCの臨床的特徴」を発表し,アルコール性肝障害からの肝細胞癌(HCC)は血小板数が保たれているところからの発癌が多いと報告したが,そのデータはHCC治療目的入院時のもので既に断酒している状態での測定であった.今回,我々はアルコール性肝障害において断酒による血小板の推移を明らかにし,follow upにおける注意点を考察した.【方法】対象はアルコール性肝障害を主病名として2007年2月~2012年9月までに当院に入院し8日以上経過を追えた75例.血小板,Hb,PT,Alb,AST,ALT,γ-GTP,T.Bil,D.Bilの推移を経時的に追い,その推移を解析した.【結果】血小板に関しては全例解析では経時的変化に有意差を認めなかったが,入院時血小板数10万/μL未満(N=21)の症例においては1週間後には有意に増加(mean 6.5万/μL→11.0万/μL)していた.さらに入院時血小板数10万/μL未満の症例をHCVの有無(HCV陽性5例,16例)陰性で分けた場合,HCV陽性では経時的な変化は認めなかった(mean 5.5万/μL→5.3万/μL)が,HCV陰性例において有意に血小板数は増加(mean 6.8万/μL→12.9万/μL)していた.Hbに関しては経時的に低下していた.PT,Alb,T.Bil,D.Bilに関しては経時的に有意な変化を認めなかった.AST,ALTは経時的に有意に低下していた.γ-GTPに関しても経時的に低下していたが有意差は認めなかった.【考察】血小板数の経時的回復は入院時血小板数10万/μL未満の症例において有意に認められ,これはアルコールによる骨髄抑制が断酒によって回復するためと考えられた.HCV陽性例では経時的回復は認めず,HCV自体の肝障害~門脈圧亢進による脾機能亢進の影響が大きいと考えられた.【結語】C型肝炎の関与しないアルコール性肝障害によって血小板が低下している例では断酒により速やかに血小板数が回復する可能性が高い.
索引用語 アルコール性肝障害, 血小板