セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

薬物・アルコール性肝疾患

タイトル 肝P-264:

当院におけるタモキシフェン関連肝障害の検討

演者 高橋 太郎(岩手県立中央病院・消化器科)
共同演者 城戸 治(岩手県立中央病院・消化器科), 大方 英樹(岩手県立中央病院・消化器科), 松本 信(岩手県立中央病院・内視鏡科), 横山 直信(岩手県立中央病院・消化器科), 三浦 真奈美(岩手県立中央病院・内視鏡科), 天野 良彦(岩手県立中央病院・内視鏡科), 小原 範之(岩手県立中央病院・消化器科), 村上 晶彦(岩手県立中央病院・内視鏡科), 池端 敦(岩手県立中央病院・消化器科)
抄録 【背景・目的】タモキシフェンは乳癌に使用される抗ホルモン剤であり,副作用としてNAFLD,NASHの発症が知られている.臨床では,休薬にて改善するため肝生検の施行例が少なくNASHへの進展への関与は明らかではない.NAFLD Fibrosis Scoreを用いて検討することとした.【対象・解析】平成18年9月から平成22年10月の間,当院乳腺外科にてタモキシフェンを処方され,アルコール多飲者を除く313名に関して統計解析を行った.【結果】内服期間平均27.91か月(0.5-120).開始時,平均年齢52.55歳(29-97),BMI22.8(15.28-36.16),AST20.90(8-72),ALT17.95(6-73),血小板22.2万(2.2万-60万),Alb4.09(2.9-5.1),NAFLD Fibrosis Score-1.88753(-5.68-1.70).経過中に肝障害を認めた症例は36例,11.5%,ALTが正常の2倍以上を示した症例12例,3.8%であった.肝障害の有無2群で比較すると治療前のBMI(肝障害あり26.52;なし22.32)でのみ有意差を認めた.肝障害症例のうちALTが70以上と以下の2群で比較するとBMI(70以上28.69:70以下25.33),治療前のNAFLD Fibrosis Score(70以上-1.60:70以下-2.57),治療前の血小板(70以上21.2万:70以下25.3万)で有意差を認めた.肝生検施行例は2例,1例でNASHの診断となった.肝障害例は全例休薬にて平均7.55か月(1-27)で正常化した.【考察】治療前のBMI26以上48症例中16症例で肝障害が起きておりBMIが重要な要素となりえることが判明した.血小板の関与が示唆されたが詳細な検討はできず今後の課題と考えられた.肝生検にてNASHと診断された症例でも休薬にて肝障害は消失しておりNASHの成因,経過を観察しうる集団と考えられた.
索引用語 タモキシフェン, NAFLD