セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

薬物・アルコール性肝疾患

タイトル 肝P-265:

健康食品が原因と思われる薬剤性肝障害をきたした3例

演者 安次嶺 拓馬(大館市立扇田病院・総合診療科)
共同演者 住吉 明子(能代山本医師会病院・消化器内科), 渡辺 大亮(能代山本医師会病院・消化器内科), 南條 博(秋田大附属病院・病理部)
抄録 【目的】近年,健康食品に起因した薬剤性肝障害の報告が増加している.今回我々はDDW-J2004診断基準によって診断に至った健康食品が原因と思われる薬剤性肝障害を3例経験したので報告する.【結果】<症例1>59歳女性.主訴:腹部不快感.レンチンプラス1000を摂取後,近医でAST/ALT400IU/L台,γ-GTP80IU/Lと肝機能異常を指摘され当科紹介となった.受診時T-Bil1.1mg/dL,AST/ALT332/501IU/L,γ-GTP806IU/L,ALP472IU/Lと胆汁うっ滞型肝障害を認めた.DLST陽性(243%),Eo1.3%でDDW-J2004スコアリング6点であった.摂取中止の上,経過観察にてT-Bil0.7mg/dL,AST/ALT22/18IU/L,γ-GTP15IU/L,ALP194IU/Lと改善した.<症例2>67歳男性.主訴:全身掻痒感.エビオス錠天然素材ビール酵母を摂取していた.近医を受診した際にAST/ALT1,683/2,017IU/Lと肝機能異常を指摘され当科紹介となった.受診時,T-Bil1.6mg/dL,AST/ALT 816/1,511IU/L,γ-GTP433IU/L,ALP433IU/Lと混合型肝障害を認めた.DLST陽性(718%),Eo1.7%でDDW-J2004スコアリング8点であった.摂取中止の上経過観察にて,T-Bil0.8mg/dL,AST/ALT16/20IU/L,γ-GTP43IU/L,ALP192IU/Lと改善した.<症例3>59歳男性,主訴:健康診断で肝機能異常.アルコール歴1-2合/day,ここ数年の検診で肝機能異常を認めず.ヘパリーゼWを摂取後,AST/ALT4,457/3,026 IU/Lと肝機能異常を指摘されて近医受診,当科紹介となった.受診時T-Bil1.3mg/dL,AST/ALT134/697IU/L,γ-GTP917IU/L,ALP513IU/Lと胆汁うっ滞型肝障害を認めた.DLST陽性(248%),Eo3.0%でDDW-J2004スコアリング7点であった.経過観察にて,T-Bil1.1mg/dL,AST/ALT25/27IU/L,γ-GTP122IU/L,ALP297IU/Lと改善した.【考察】DDW-J2004診断基準に従い,3例とも薬剤性肝障害の診断に至った.今回の症例は原因と思われる健康食品の中止のみで肝機能障害は改善した.安全と思われる健康食品においても薬剤性肝障害をきたす可能性があるため,十分な注意が必要と思われた.
索引用語 薬剤性肝障害, 健康食品