セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

薬物・アルコール性肝疾患

タイトル 肝P-266:

当科におけるアルコール性肝細胞癌の再発に関する検討

演者 三上 健一郎(弘前大大学院・消化器血液内科学)
共同演者 遠藤 哲(弘前大大学院・消化器血液内科学), 澤田 直也(弘前大大学院・消化器血液内科学), 五十嵐 剛(弘前大大学院・消化器血液内科学), 佐藤 研(弘前大大学院・消化器血液内科学), 坂本 十一(弘前市立病院・内科), 福田 眞作(弘前大大学院・消化器血液内科学)
抄録 【目的】ウイルス性肝疾患の減少に伴い,アルコール性肝障害を基盤にした肝細胞癌(HCC)の比率が増加している.今回,当科におけるアルコール性HCCの根治療法後の再発について検討を行った.【方法】2000年1月から2012年10月までの期間に,根治治療が施行されたアルコール性HCC症例(アルコール群:非B非C型HCCで1日5合以上の大酒家)16例と,常習飲酒歴のないC型HCC症例(HCV非飲酒群)129例,および常習飲酒歴のあるC型HCC症例(HCV飲酒群)81例の3群間で比較検討した.【成績】アルコール群は全例男性であり,発症年齢では,アルコール群(65.4±11.6歳),HCV非飲酒群(69.2±7.0歳),HCV飲酒群(67.2±7.3歳)の3群間に有意差はなかった.肝硬変合併の有無,静脈瘤の有無,肝予備能,最大腫瘍径,臨床病期では3群間に有意差を認めず,腫瘍個数でHCV非飲酒群に単発が多くみられた.アルコール群ではAFPが有意に低値を示したが(p<0.05),PIVKA-IIは3群間で有意差を認めなかった.平均38ヶ月の観察期間中,アルコール群の局所再発/多中心性再発は1例/7例(多中心性87.5%)であり,HCV非飲酒群の5例/44例(多中心性89.8%),HCV飲酒群の6例/58例(多中心性90.6%)と同様に多中心性再発が多くみられた.アルコール群,HCV非飲酒群,HCV飲酒群の1/2年無再発率は,それぞれ,100%/52.9%,72.1%/43.0%,74.6%/54.0%で,3群間に有意差は認められなかった.5年生存率は,アルコール群9.0%,HCV非飲酒群43.1%,HCV飲酒群43.4%であり,アルコール群が有意に予後不良であった(p<0.05).また,アルコール群では,HCC以外の消化器癌合併率が有意に高率であった(アルコール群37.5%,HCV非飲酒群7.0%,HCV飲酒群13.6%,p<0.05).【結論】アルコール性HCCの再発は多中心性が多く,C型 HCCの再発率とほぼ同等であった.また,アルコール性HCCでは消化器癌の合併が多く,HCC以外の要因が予後に関与していることが推定された.
索引用語 肝細胞癌, アルコール