セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
薬物・アルコール性肝疾患
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タイトル |
肝P-267:中等症・重症アルコール性肝炎の予後についての検討
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演者 |
堀江 義則(順和会山王病院・消化器内科) |
共同演者 |
山岸 由幸(慶應義塾大・消化器内科), 海老沼 浩利(慶應義塾大・消化器内科), 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科) |
抄録 |
【目的・方法】本邦におけるアルコール性肝炎(AH) の重症度スコア(Japan Alcoholic Hepatitis Score, JAS)が作成され,このスコアで中等症・重症のAHでは禁酒しても肝腫大が持続する例があり予後不良である.日本消化器病学会認定,関連施設に対し,2011年度に入院した中等症・重症AH症例のアンケート調査を行った.血液データや合併症の有無と血漿交換(PE),白血球除去療法(GMA),ステロイド投与,血液透析(HD)などの治療介入の有無による予後への影響を検討した.【成績】中等症26例のうち死亡例4例,重症33例のうち死亡例17例であった.軽症例での死亡例も調査したが,回答のあった147施設では認めなかった.中等症例では,死亡例で消化管出血(生存例9%;死亡例50%)の合併率が高かった.重症例では,死亡例でJASの項目に含まれるCr,PT(INR)が高かった.また,死亡例で,消化管出血,腎不全,DICの合併率が高かった.各治療法の施行率はPE 3%,GMA 21%,ステロイド投与 33%,HD 21%と依然として低かったが,生存例のGMA施行率は38%(16例中6例)と有意に高かった.ステロイド不応例が11例中5例に認められた.白血球数10,000/μl以上でGMA未施行群での死亡率は55%(11/20)に対し,GMA施行群では14%(1/7)と有意に低かった.白血球数10,000/μl未満の群は7例中6例が死亡と予後不良であったが,PE,GMA,ステロイド投与,HDが施行された例はなかった.【結論】中等症での死亡率は15%,重症52%であり,JASで8点以上の症例では,禁酒,肝庇護剤投与以外の治療介入を考慮する必要があると考えられた.今回,白血球数,TBはむしろ生存例で高く,GMAがこれらのリスクを回避した可能性がある.一方で,死亡例で合併症の率が有意に多く,合併症が出現する前の治療介入が重要である.集学的治療法の施行率は依然として低く,JASを利用して重症度を的確に判定し,PE, GMA,ステロイド投与,透析などの施行率を上げることが必要と考えられた. |
索引用語 |
アルコール性肝炎, 白血球 |