セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

生化学・分子生物学

タイトル 肝P-270:

肝癌細胞におけるガレクチン-9の増殖抑制効果の検討

演者 藤田 浩二(香川大附属病院・消化器・神経内科)
共同演者 山名 由花(香川大附属病院・消化器・神経内科), 坂本 鉄平(香川大附属病院・消化器・神経内科), 大倉 亮一(香川大附属病院・消化器・神経内科), 小林 聖幸(香川大附属病院・消化器・神経内科), 野村 圭(香川大附属病院・消化器・神経内科), 野村 貴子(香川大附属病院・消化器・神経内科), 三村 志麻(香川大附属病院・消化器・神経内科), 谷 丈二(香川大附属病院・消化器・神経内科), 三好 久昭(香川大附属病院・消化器・神経内科), 米山 弘人(香川大附属病院・消化器・神経内科), 正木 勉(香川大附属病院・消化器・神経内科)
抄録 【目的】β-ガラクトシド結合蛋白質の1つであるガレクチン-9 (Gal-9) は,悪性リンパ腫細胞においてアポトーシスを誘導するとともに細胞分裂を抑制し,増殖抑制効果を示すことが知られている.しかしながら肝細胞癌 (HCC) におけるガレクチン-9の増殖抑制効果については報告されていない.今回我々は肝癌細胞において,ガレクチン-9による増殖抑制効果とその機序について検討した.【方法】3種類のHCC細胞株 (HLE,,Li-7, Huh7) に0.01~0.3μMのGal-9を投与し,細胞増殖抑制効果をMTT assayで検討した.またGal-9によるアポトーシスの誘導をCK18を測定することにより検討した.Gal-9が細胞周期に与える効果をフローサイトメーターで検討した.さらに細胞内のアポトーシス関連分子群, 細胞周期関連蛋白質群,血管新生分子群,レセプター型チロシンキナーゼ群をWestern blot及びタンパクアレイチップにて網羅的に解析した.Gal-9の細胞増殖抑制に関連するマイクロRNAを同定するために1719分子が搭載されたチップを用いて網羅的に解析した.【成績】HLE及びLi-7において,Gal-9の投与によりアポトーシスが誘導され,濃度依存的に増殖が抑制された.HLEにおいては,アポトーシスを誘導するとされるmiR-23a, miR-29a, miR-29b, miR-204, miR-431, miR-497の発現が亢進し,抗アポトーシス活性をもつとされるXIAP, Bcl-w, IGF-1が抑制された.細胞分裂は亢進しており,細胞周期を抑制するとされるmiR-15a,miR-16-1及びLet-7bの発現が低下し,CyclinD1及びCyclinEの発現が亢進していた.【結論】Gal-9はHLE及びLi-7においてアポトーシスを誘導し増殖を抑制した.HLEにおけるアポトーシス誘導の機序として,miR-23a,miR-29及びmiR-497によるXIAP,IGF-1及び Bcl-wの抑制が考えられた.細胞分裂の亢進の機序として,let-7b,miR-15a及びmiR-16-1の発現低下によるCyclinD1,CyclinEの発現亢進が考えられた.
索引用語 肝細胞癌, アポトーシス