セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
生化学・分子生物学
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タイトル |
肝P-272:肝臓癌細胞におけるResveratrolによるTRAIL誘導性細胞死の増強
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演者 |
爲田 雅彦(三重大附属病院・消化器・肝臓内科DELIMITER三重大大学院・臨床検査医学) |
共同演者 |
白木 克哉(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 杉本 和史(三重大附属病院・消化器・肝臓内科DELIMITER三重大大学院・臨床検査医学), 山本 憲彦(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 稲垣 悠二(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 竹井 謙之(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 登 勉(三重大大学院・臨床検査医学) |
抄録 |
【目的】Resveratrolはブドウやピーナッツ等に含まれる天然のポリフェノールである.抗酸化作用を有しているとされ,サプリメントとしても使用されている.その作用としてPPARα,SIRT1の活性化,COX-2の阻害等が報告されている.種々の癌に対する抑制的な作用が報告されているが,肝臓癌についての報告は限られている.今回,我々はResveratrol単独およびにTARAILとの併用において肝臓癌細胞に与える影響について検討した.【方法】ヒト肝癌細胞HepG2を使用し,Resveratrolの投与による細胞増殖の影響をMTT assayとPI(propidium iodide)染色を用いて評価した.またアポトーシス抑制蛋白に及ぼす影響を評価するためWestern Blotting法を用いた.TRAILとResveratrolを併用した際の効果についてはMTT assayを用いて検討した.またアポトーシスの検出のためAnnexin-Vを使用した.【成績】50μMのResveratrolをHepG2に投与したところ,24時間後に37%,48時間後に65%の細胞増殖抑制を認めた.PI染色ではS期の細胞がResveratrol投与12時間後は19.3%であったが,24時間後で52.9%,48時間後で52.0%であり,S期での細胞周期の停止を認めた.アポトーシスの誘導は12時間後,24時間後ともに認められなかった.Western BlottingではSurvivinがResveratrolの濃度依存性に減少したが,Caspase,FLIP,XIAPといった他のアポトーシス関連遺伝子に変化は認められなかった.50μMのResveratrolと10nMのTRAILを併用した場合とTRAIL単独投与を比較したところ,併用した場合には66%の細胞生存率の低下を認め,またアポトーシスが誘導された細胞の割合も併用した場合には12時間後に2.0倍,24時間後で5.1倍増加した.【結論】ResveratrolはTRAILの効果を増強させることが示唆され,その機序として抗アポトーシス遺伝子であるSurvivinの抑制とS期での細胞周期の停止が関与していると考えられた. |
索引用語 |
Resveratrol, TRAIL |