セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

その他の肝腫瘍・肝占拠性病変

タイトル 肝P-277:

当院で経験した肝膿瘍症例の臨床的検討

演者 赤澤 希宝香(板橋中央総合病院・消化器科)
共同演者 市川 武(板橋中央総合病院・消化器科), 田中 佐世(板橋中央総合病院・消化器科), 天目 陽(板橋中央総合病院・消化器科), 根岸 良充(板橋中央総合病院・消化器科), 神野 正隆(板橋中央総合病院・消化器科), 佐々木 洋(板橋中央総合病院・消化器科), 大久保 沙恵(板橋中央総合病院・消化器科), 町田 展章(板橋中央総合病院・消化器科), 大井 至(板橋中央総合病院・消化器科), 藤野 雅之(蓮根ロイヤルクリニック), 田和 良行(板橋中央総合病院・消化器科)
抄録 【目的】当院にて経験した肝膿瘍症例の臨床的特徴を解明し経皮経肝膿瘍ドレナージの施行例と未施行例の治療成績を比較検討する.【方法】2007年1月~2012年12月に当院で経験した肝膿瘍66例の病態と治療の臨床的検討を行った.【成績】細菌性肝膿瘍(63例),アメーバ性肝膿瘍(3例).平均年齢は66.4歳(24~100),男性/女性 44/22例.細菌性肝膿瘍で同定された起炎菌はKlebsiella p.が9例,ESBL3例,E.Coli 3例,Bacteroides fragilis 2例であった.感染経路は経胆道24例,経動脈11例,経門脈9例,直接波及1例.基礎疾患は悪性腫瘍16例(24%)(膵癌,胆嚢癌各3例,胆管癌,大腸癌,胃癌各2例,他4例),糖尿病12例(18%),透析5例(8%).死亡1例で十二指腸乳頭部癌肝転移の2次感染例であった.治療は全例抗生剤投与され,ドレナージ施行は36例,ドレナージ未施行は30例であった.背景はドレナージ施行/未施行で平均年齢64.6歳(24~89)/67.9歳(35~100),単発23例(77%)・多発7例(23%)/単発23例(64%)・多発13例(36%),治療前のCRP値(mg/dl)19/16.CRP正常化までの平均期間(日)は24/26で有意差はなかった.単発例46例と多発例20例の比較では,単発例の平均年齢は65.0歳(39~90),多発例の平均年齢は70.0歳(24~100)であり,高齢者に多発例が多かった.背景疾患は単発例/多発例で悪性腫瘍8例(8/46例 17%)/8例(8/20例 40%)糖尿病8例(8/46例 17%)/2例(2/20例 10%),良性胆道疾患6例(6/46例 11%)/3例(3/20例 15%).【結論】肝膿瘍の基礎疾患は悪性腫瘍,糖尿病,透析が多く,日和見感染宿主に多く発症していた.死亡例は1例で,予後は良好であった.多発例は単発例と比較して高齢者や担癌患者が多かった.CRP改善までの期間はドレナージ施行例と未施行例で有意差を認めず,それぞれの背景にあった治療が選択されるべきである.
索引用語 肝膿瘍, 経皮経肝膿瘍ドレナージ