セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

その他の肝腫瘍・肝占拠性病変

タイトル 肝P-279:

ジエチルニトロソアミン誘導肝発癌におけるインドールアミン酸素添加酵素の役割

演者 永野 淳二(岐阜大・1内科)
共同演者 中村 信彦(岐阜大・1内科), 大野 智彦(岐阜大・1内科), 河内 隆宏(岐阜大・1内科), 久保田 全哉(岐阜大・1内科), 白上 洋平(岐阜大・1内科), 清水 雅仁(岐阜大・1内科), 鶴見 寿(岐阜大・1内科), 森脇 久隆(岐阜大・1内科)
抄録 【背景】Indoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)は,必須アミノ酸であるトリプトファン(Trp)をキヌレニン(Kyn)に代謝・分解する経路を制御する細胞内酵素であるが,近年,同酵素が肝臓の免疫調節機構において重要な役割を果たしていることが明らかになってきている.腫瘍微小環境下においてIDO活性の上昇は,Trpの減少や有害なTrp代謝産物の増加を引き起こし,T細胞やNK細胞の動員を抑制し,アポトーシスの誘導を阻害することがわかってきている.本研究では,IDO欠損(IDO-/-)マウスを用いて,ジエチルニトロソアミン(DEN)による肝発癌におけるIDOの役割について検討した.
【方法】2週齢のIDO-/-マウスとその野生型(WT)にあたるBL6マウスにDEN(25mg/kg・体重)を腹腔内投与し,肝細胞癌(HCC)や前癌病変であるfoci of cellular alteration(FCA)を誘導させた.20週齢と32週齢に各々解剖し,HCCとFCAの発生率と個数を計測した.
【結果】IDO-/-マウスはWTマウスと比べて, HCCとFCAともに有意差をもって少なかった.腫瘍部におけるFoxp3のmRNA発現は,IDO-/-マウスとWTマウス両方の非腫瘍肝組織と比べて非常に高値であった.IDO-/-マウスの腫瘍部では,COX-2やTNF-αのmRNA発現はWTマウスと比較し低下していた.
【結語】IDO発現の有無は肝発癌における早期・後期いずれにも関与していると考えられた.本実験の結果は,肝癌の抑制において,IDOをターゲットとした新規治療法の可能性が示唆されるものであった.
索引用語 IDO, HCC