セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
B型肝炎-病態・診断3
|
タイトル |
肝P-281:慢性関節リウマチ症例のHBV再活性化ハイリスクグループの検討
|
演者 |
荒川 泰雄(日本大・消化器肝臓内科) |
共同演者 |
楡井 和重(日本大・消化器肝臓内科), 松村 寛(日本大・消化器肝臓内科), 中村 仁美(日本大・消化器肝臓内科), 樋口 晃久(日本大・消化器肝臓内科), 山上 裕晃(日本大・消化器肝臓内科), 松岡 俊一(日本大・消化器肝臓内科), 武井 正美(日本大・血液膠原病内科), 徳橋 泰明(日本大・整形外科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科) |
抄録 |
【目的】慢性関節リウマチ(RA)の治療薬である副腎皮質ステロイド,メトトレキセート(MTX),生物学的製剤等の投与に伴うHBV再活性化が問題となっており,全症例のHBVスクリーニング検査とHBs-Ag陽性症例およびHBV-DNA陽性症例に対する核酸アナログ製剤の投与が本邦のガイドラインにも記載されている.当院当科,膠原病内科,整形外科および近隣の医療機関とで連携し,RA患者におけるHBV再活性化ハイリスク症例の登録を行っている.当院当科外来での該当症例の臨床経過の推移とHBV再活性化の有無について検討を行った.さらに当施設にて経験した,RAの治療中に劇症化し抗HBV治療を行った2症例についても報告する.【方法】対象は2012年5~12月にかけて当院当科外来を受診したHBV感染既往者およびHBVキャリアーで,当院あるいは他院にてRAの診断と治療を受けている計23症例である.(男9例女15例,平均66.1歳)当科外来初診時あるいは抗HBV治療開始直前の血算・生化学検査所見,経過中のHBV-DNA(TaqMan)の検討を行った.【成績】HBs-Ag陽性症例,陰性症例ともにHBV-DNA陽性・陰性例の間に性別,血算生化学検査値について有意差は認めなかった.HBs-Ag陽性症例10例中8例が初診当初よりHBV-DNA陽性化を認め,核酸アナログ製剤にて治療介入を行い重症化は認めていない.HBs-Ag陰性症例13例中1例(7.7%)でHBV 再活性化を認めたが,核酸アナログ製剤投与にてHBV-DNAの陰性化を認めた.また劇症化した2例は, 57歳と63歳であり,いずれもPSLとMTX, 抗TNF-α製剤使用されていた.いずれもHBs抗原陽性かつHBs抗体陰性, HBc抗体陽性例であり,再活性化時直ちにEntecavir投与を開始したがいずれも死亡した.【結論】抗リウマチ薬はHBV再活性化のリスクだが,ガイドラインの推奨する投与前のHBVスクリーニング,HBV-DNAモニタリングと早期の治療介入で重症化は予防しうると考えられた. |
索引用語 |
HBV再活性化, 慢性関節リウマチ |