セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)B型肝炎-病態・診断3 |
---|---|
タイトル | 肝P-282:悪性リンパ腫における再活性化を防ぐための肝炎ウイルス感染の検討 |
演者 | 栗田 聡(県立がんセンター新潟病院・内科) |
共同演者 | 加藤 俊幸(県立がんセンター新潟病院・内科), 青柳 智也(県立がんセンター新潟病院・内科), 佐々木 俊哉(県立がんセンター新潟病院・内科), 船越 和博(県立がんセンター新潟病院・内科), 本山 展隆(県立がんセンター新潟病院・内科), 成澤 林太郎(県立がんセンター新潟病院・内科) |
抄録 | 【目的】悪性リンパ腫における治療ではB型肝炎ウイルスの再活性化に注意が必要なため 治療前後における肝炎ウイルス感染が問題である. 【方法】1996から2010 年における悪性リンパ腫症例を対象にB型・C型肝炎の感染率を検討した. 【成績】1996-98年の悪性リンパ腫におけるHCV(anti-HCV)陽性率は8%と高く,C型肝炎の肝外病変のひとつとして注目された.2001年からの分子標的薬Rituximabの普及に伴って2004年にHBs抗原の陽性化と劇症肝炎を経験し,HBVの再活性化と その劇症化への対策が必要となった.当科では2004年から 1)治療前に肝炎ウイルスマーカー一式を検査する.2)HBs抗原陽性例ではRituximabとステロイドの投与を避ける.3)Rituximab投与例では,anti-HBs・anti-HBc陽性ではエンテカビルを予防投与する. 4)治療終了後も定期検査を続ける対策をとってきた.肝炎ウイルス感染者を年次的に検討すると,2000-2003年(n=221)には anti-HCV(+)4.1%,HBsAg(+)2.3%であったが,2004年以降2010年まで(n=533)では anti-HCV(+)2.6%,HBsAg(+)3.6%,HBsAg(-)のうちanti-HBc(+) and/or anti-HBs(+)は15.6%で,合わせて22%に重症肝炎の危険性があった.anti-HCV(+)16例では治療後も肝炎の悪化はなく, HBsAg(+)17例ではエンテカビルの予防投与が行われ再活性化を認めなかった.HBsAg(-)でanti-HBc(+) and/or anti-HBs(+)のハイリスク群 (n=84)のRituximab投与例では予防投与を行ったが,再活性化を1例に認めた. 【結論】悪性リンパ腫における肝炎既感染者には初回治療からRituximabを投与しないように努めているが,2回目から効果のあるR-CHOPが選択されることが多く,Rituximab単独維持療法も施行され,全体の56.6%にRituximabが投与されている.HBVの再活性化には今後も注意が必要である. |
索引用語 | 悪性リンパ腫, B型肝炎 |