セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-病態・診断3

タイトル 肝P-284:

ゲノタイプB高浸淫地区における免疫抑制・化学療法を受けたHBV既往感染者のHBV再活性化の検討

演者 西瀬 雄子(山形大・消化器内科)
共同演者 奥本 和夫(山形大・消化器内科), 冨田 恭子(山形大・消化器内科), 勝見 智大(山形大・消化器内科), 佐藤 智佳子(山形大・消化器内科), 阿蘓 里佳(山形大・消化器内科), 渡辺 久剛(山形大・消化器内科), 齋藤 貴史(山形大・消化器内科), 上野 義之(山形大・消化器内科)
抄録 【目的】血液疾患や悪性腫瘍,自己免疫性疾患など様々な疾患に対する免疫抑薬の普及により,HBV既往感染者からの再活性化のリスクが問題となっている.本研究では,HBV genotype Bが感染者で多数という特徴を有する当院におけるHBV再活性化の状況を把握し,背景および要因を検討した.
【対象と方法】2008年1月~2012年12月に免疫抑制剤・化学療法を受けた血液疾患,関節リウマチおよび皮膚疾患患者を対象とした.
【成績】対象期間内に4名のHBV再活性患者を認め,6名の非再活性HBV既往感染者が経過観察された.再活性を認めた4例の特徴は次の通りである.症例1は悪性リンパ腫にてCHOP療法を計8コース施行後,6か月ごとのリツキシマブ+ステロイド投与中肝機能障害とHBsAg陽転化を認め(genotype Bj),エンテカビル(ETV)投与を含めた集学的治療を実施するも劇症肝炎で死亡.症例2は2003年皮膚T細胞リンパ腫にてCHOP療法施行後,2012年リンパ腫再発によりCHOP療法4コース施行.その後肝機能障害とHBs抗原陽転化(genotype Bj)を認めたがETV開始後速やかに肝機能障害は改善.症例3は中枢神経原発悪性腫瘍にて2010年MTX+AraC療法実施.再発に対するR-CHOP療法3か月後にHBVDNAが陽転化し(genotype不検出)ETV開始.肝機能は基準値内で経過.症例4は全身性扁平苔癬にて2008年よりシクロスポリンとPSLを投与中,2012年HBVDNA陽性化(genotype不検出)と肝機能障害が出現.薬物性肝障害が疑われたためPSL増量と同時にETV投与を行ったところ,速やかに肝障害は改善した.再活性化せず経過観察されている6名については,免疫抑制作用を有する薬剤の投与量が比較的少ないという特徴がみられた.【結論】再活性化のリスクを把握し慎重に経過観察を行うことにより,再活性化の初期に治療が導入できた場合は肝障害が重症化せず予後は良好であることが示唆された.
索引用語 HBV再活性化, ゲノタイプB