セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-病態・診断4

タイトル 肝P-285:

血液悪性疾患におけるHBV再活性化の時期とリスク予測

演者 詫間 義隆(倉敷中央病院・消化器内科)
共同演者 守本 洋一(倉敷中央病院・消化器内科), 高畠 弘行(倉敷中央病院・消化器内科), 萱原 隆久(倉敷中央病院・消化器内科), 山本 博(倉敷中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】当院で経験したde novo 肝炎は全例悪性リンパ腫(ML)と造血幹細胞移植(SCT)からの発症でHBV既感染血液悪性疾患の再活性化時期とhigh risk集団の拾い上げを試みた.【方法】(1)当院で加療したHBsAg陰性ML795例中231例(29%)とHBsAg陰性SCT170例中53例(31%) のHBV既感染者を対象とした.(2)再活性化非再活性化群の背景因子の比較と再活性化予測をlogistic 回帰とdata mining(C&R Tree Algorithm,以下CRT)で作成した.【成績】 (1) HBV既感染ML231例中20 例(8.7%)に再活性化し, その時期は化学療法後0~20.6カ月(中央値 3.2カ月)であった.2群間の年齢,性別, rituximab使用有無, HBsAb陽性など背景因子を比較すると再活性化群のHBsAb陽性率30%で非再活性化群69%に比べ有意に低かった(p<0.001).多変量解析ではHBsAb陽性のみが再活性化の有意な因子であった(HR 0.19, p=0.004). CRTではHBsAbと性別が抽出された. A群( [HBsAb陰性]or [HBsAb陽性and男性])とB群(HBsAb陽性and女性)に分けた.A群167例中20例(12%), B群64例中0例(0%)再活性化し,判別能は感度100%, 特異度30%であった.(2) HBV既感染SCT53例中8例(15%)に再活性化を認め, その時期はSCT後0.4~33.5カ月(中央値 20.2カ月)であった.2群間の年齢,性別, 急性GVHD,慢性(c)GVHD, 免疫抑制剤種類別有無, HBsAb陽性, AMLなど背景因子を比較すると再活性化群のcGVHD発症率63%で非再活性化群24%に比べ有意に高かった(p=0.045).多変量解析では有意な因子は認めず,CRTではcGVHDとAMLが抽出された. C群( [cGVHD有]or [cGVHD and 非AML])とD群(cGVHD無and AML)に分けた.C群40例中8例(20%), D群13例中0例(0%)再活性化し,判別能は感度100%, 特異度29%でcGVHD合併やmyelomaなどAML除く症例がhigh riskであった.【結語】SCTはcGVHDで免疫抑制剤長期投与を必要とし再活性化時期が遅れ長期のHBV-DNAモニタリングが必要と思われた.HBV再活性化は致命的になりうるためハイリスク集団の拾い上げには感度の高いdata miningは有用であった.
索引用語 HBV再活性化, data mining