セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-病態・診断4

タイトル 肝P-287:

造血器関連腫瘍および固形腫瘍治療時におけるB型肝炎対策ガイドラインの浸透度

演者 平野 正明(新潟県立中央病院・内科)
共同演者 坂牧 僚(新潟県立中央病院・内科), 有賀 諭生(新潟県立中央病院・内科), 山川 雅史(新潟県立中央病院・内科), 津端 俊介(新潟県立中央病院・内科)
抄録 【目的】2009年に「免疫抑制剤・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン」が提示された.このガイドラインでは造血器腫瘍だけでなく固形腫瘍に対する化学療法時にもHBV関連マーカーを測定し対応することが推奨されている.一方で他科の医師がこのガイドラインを認識し実際にHBV関連マーカーを測定しているとは必ずしも言えない.そこで今回当院の造血器関連腫瘍と固形腫瘍治療時のHBV関連マーカーの測定状況を検討した.【対象】2011年から2012年前期に血液内科で登録された造血器関連腫瘍(造血器群)194例(内,リンパ腫 75例)と2012年前期に外来化学療法室にて化学療法を受けた固形腫瘍(固形群)209例を対象とした.それぞれの群のHBs抗原,HBc抗体,HBs抗体測定率,またその陽性者数について比較した.【結果】治療前のHBs抗原測定率は造血器関連腫瘍 89.2%(リンパ腫 98.7%),固形腫瘍 86.1%で有意差は認められなかった.またHBs抗原陽性数は造血器群で2例,固形群で3例,造血器群では抗ウイルス剤の投与がなされていたが,固形群では抗ウイルス剤の投与がなされていなかった.HBc抗体測定率は造血器群で59.7%(リンパ腫 66.7%),固形群で5.3%と固形群での測定率が有意に低かった(p<0.05).またHBc抗体陽性数は造血器群で33例 28.4%(リンパ腫 12例),固形群では1例 9.1%であった.さらにHBs抗体測定率は造血器群で56.7%(リンパ腫 69.3%),固形群5.3%と固形群での測定率が有意に低かった(p<0.05).再活性化は固形群で1例あり,抗ウイルス剤の投与にて改善し劇症化しなかった.【結論】ガイドライン提示後も固形腫瘍の化学療法を担当する医師のHBV再活性化に関する意識は低く,HBc抗体/HBs抗体の測定率は極めて低かった.一方で,de novo肝炎に対する認識のある血液内科医は,治療内容に合わせてHBV関連マーカーを測定しているものと考えられた.今後固形腫瘍に対する化学療法の絶対数の増加が見込まれる中で,院内他科との連携を強化する必要がある.
索引用語 HBV, 再活性化