セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-病態・診断4

タイトル 肝P-289:

HBsAg消失例の検討からみたHBV再活性化予防について

演者 中村 昌人(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学)
共同演者 神田 達郎(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 中本 晋吾(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 宮村 達雄(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 呉 霜(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 新井 誠人(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 今関 文夫(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 横須賀 收(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学)
抄録 【目的】B型肝炎において, HBsAg消失は臨床的治癒に近い状態と考えられている. 一方で, HBsAg消失例においてもHBV DNAが検出される例が報告されている. 今回, 核酸アナログ(NAs)使用時及び非使用時(自然消失)におけるHBsAg消失例を比較検討した.さらに消失例におけるHBV DNA再陽性化の検討を行った.【方法】NAs初回投与B型肝炎患者275例中のHBsAg消失を検討した. NAs使用時HBsAg消失8例及び自然消失7例の臨床背景を比較検討し, HBsAg消失後のHBV DNAの再出現を検討した.【成績】1) NAs初回投与B型肝炎患者275名では8例(2.9%)のHBsAg消失がみられた. 2) HBsAg消失時の検討ではNAs群[M/F:7/1, 平均年齢61±14歳, エンテカビル:ラミブジン4:4(1例はアデホビル併用)], 自然消失群(M/F:2/5, 平均年齢60±6歳)とNAs群で男性が多い傾向を認めた(P=0.072). 全例HBsAg陽性を確認後, HBsAg消失時までの平均観察期間はそれぞれ53及び136か月であり, US像は慢性肝炎であった. 不明1例を除きIFN使用歴はみられなかった. 3) HBsAg消失NAs群では, 免疫抑制剤の使用歴を5例(62%)で認めた. リツキシマブが3例で使用され1例がde novo肝炎であった. HBsAg消失時点で免疫抑制剤を使用していたのは, 肝移植例1例のみであった. 4) HBsAgかつHBV DNA消失後NAs群3例(37%)で, その後の経過観察中にHBV DNA再陽性化が見られたが, 自然消失群では1例も見られなかった.【結論】HBsAg消失は, 免疫抑制剤使用例で多く見られた. HBsAg消失後にHBV DNAが再陽性化する例も存在することから, HBV再活性化のモニタリングではHBsAg消失後も定期的なHBV DNA測定が重要であると再認識された.
索引用語 B型肝炎, 再活性化