セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-治療4

タイトル 肝P-291:

アデホビルによる腎障害例の検討

演者 福富 啓祐(国立大阪医療センター・消化器科)
共同演者 石田 永(国立大阪医療センター・消化器科), 木村 圭一(国立大阪医療センター・消化器科), 杉本 彩(国立大阪医療センター・消化器科), 日比野 賢嗣(国立大阪医療センター・消化器科), 坂根 貞嗣(国立大阪医療センター・消化器科), 田村 猛(国立大阪医療センター・消化器科), 岩崎 哲也(国立大阪医療センター・消化器科), 岩崎 竜一朗(国立大阪医療センター・消化器科), 長谷川 裕子(国立大阪医療センター・消化器科), 山田 拓哉(国立大阪医療センター・消化器科), 榊原 祐子(国立大阪医療センター・消化器科), 中水流 正一(国立大阪医療センター・消化器科), 外山 隆(国立大阪医療センター・消化器科), 三田 英治(国立大阪医療センター・消化器科)
抄録 【目的】LAM耐性のB型肝炎に対してはADVの併用が推奨されているが,長期投与例が増加するにつれ,腎機能障害,Fanconi症候群などの副作用が報告されている.今回,当科におけるその現況について検討した.【方法】当科において併用療法を行っている34例を対象とした.腎機能の経時的評価は他の医療機関でのデータ確認ができない症例などを除いた23例で行った.【成績】(1) 主治医が腎障害と判断しADVを減量もしくはETVへ切り替えた10例を変更群,薬剤を変更せず5年以上経過した13例を未変更群とした.変更群の年齢中央値は57歳で,変更までの期間は50ヶ月であった.ADV導入前の血清Creは0.71mg/dL,推定糸球体濾過量(eGFR)は84mL/min/1.73m2で,薬剤変更時までの変動はΔCre 0.43±0.15mg/dL,ΔeGFR -33±10mL/min/1.73m2であった.一方,未変更群の年齢中央値は43歳で,変更群に比して腎障害の程度は軽度であったが,eGFRが20%以上低下した症例が5例(38%)認められ,全例が投与開始後4年までに低下していた.(2) 薬剤性Fanconi症候群は変更群に3例認め,ADV使用34例中の8.8%であった.3症例の初発症状はすべて骨痛・関節痛などの骨軟化症による症状で,ADV併用からの初発症状発現時期はそれぞれ30・54・56ヶ月であった.初発症状の前に血清ALP値の上昇を認めた.(3) 腎障害出現後のADVの減量もしくはETVへの切替によるHBV-DNAの上昇はないか限定的であった.【結論】腎障害の出現による変更例は未変更群に比して高齢であった.また未変更群においても5年間の経過でeGFRが投与前値の80%以下に低下した症例が認められ,このような症例においてはHBV-DNA量がコントロールされていればADVの減量または薬剤変更を考慮してもよいと考えられた.薬剤性Fanconi症候群は全例,後方視的に検討すると自覚症状出現よりも前に血清ALPの上昇を認めており,血清ALPの変動に注意するべきある.
索引用語 アデホビル, Fanconi症候群