セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-治療4

タイトル 肝P-292:

膠原病合併のB型肝炎に対する核酸アナログ製剤の治療効果についての検討

演者 柴田 道彦(産業医大・3内科)
共同演者 鬼塚 良(産業医大・3内科), 千手 倫夫(産業医大・3内科), 松橋 亨(産業医大・3内科), 日浦 政明(産業医大・3内科), 阿部 慎太郎(産業医大・3内科), 原田 大(産業医大・3内科)
抄録 【目的】長期間の免疫抑制療法が必要である膠原病領域において,核酸アナログ製剤(NA)の治療効果を明らかにする.【方法】2009年以降に当科でNAを開始し,治療前のHBV-DNA(DNA)が4.0 log copy/ml以上であった症例を膠原病群と非膠原病群に分類した.検討項目は,治療前の性,年齢,ウィルス条件(DNA量,genotype,プレコア・コアプロモーター変異),肝機能(Alb,AST,ALT,ALP,γGTP,PT%),腎機能(BUN,Cre),血算,そして治療1,3,6,12カ月後のDNA,ALTの推移,減少量(例ΔDNA1ヵ月=DNA1ヵ月後-DNA治療前),さらに12ヵ月後のコア関連抗原(HBcrAg)とした.数値は中央値±標準誤差で示し,統計ソフトはSPSS ver19.0を使用し,2群間の比較はMann-WhitneyのU検定を行った.【成績】膠原病群が5例,非膠原病群が25例で,膠原病群は4例がRAで全例メソトレキサートを,1例が間質性肺炎でステロイドを使用していた.膠原病群vs非膠原病群で,治療前の年齢が60.4±3.9 vs 55.4±2.6歳(p = 0.12),DNAが7.4±0.9 vs 8.0±0.4(p = 0.29),ALTが33±35 vs 84±44 IU/l(p = 0.048)で,非膠原病群がALT高値であったが,DNAに差はなかった.治療後のDNAは,ΔDNA1ヵ月が-1.0±0.3 vs -2.1±0.2(p<0.01),ΔDNA3ヵ月が-2.8±0.5 vs -4.0±0.3(p = 0.06),ΔDNA6ヵ月が-3.7±0.6 vs -4.8±0.4(p = 0.13),ΔDNA12ヵ月が-4.3±0.6 vs -5.9±0.4(p = 0.12)で,治療初期のΔDNAに差はあり,それ以降では強い傾向はあったが,有意差はなかった.そして,12ヵ月後のHBcrAgは5.4±0.8 vs 3.0±0.5 log U/mlと膠原病群で有意に高値であった.【結論】膠原病における免疫抑制療法はHBVの増殖にとって好条件であり,NAに対する初期の反応低下がみられた.また12ヵ月後にはDNA量は非膠原病群と有意差はないが,肝細胞内ccc-DNA量を反映するHBcrAgは依然として高値のままであり,HBcrAg測定の有用性が示された.
索引用語 B型肝炎, 膠原病