セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

B型肝炎-治療4

タイトル 肝P-293:

HIV感染治療開始に伴うB型肝炎の免疫再構築症候群に関する検討

演者 末次 淳(岐阜大大学院・消化器病態学)
共同演者 宮崎 恒起(岐阜大大学院・消化器病態学), 華井 竜徳(岐阜大大学院・消化器病態学), 今井 健二(岐阜大大学院・消化器病態学), 白木 亮(岐阜大大学院・消化器病態学), 高井 光治(岐阜大大学院・消化器病態学), 清水 雅仁(岐阜大大学院・消化器病態学), 内木 隆文(岐阜大大学院・消化器病態学), 鶴見 寿(岐阜大大学院・消化器病態学), 森脇 久隆(岐阜大大学院・消化器病態学)
抄録 【目的】B型肝炎の臨床像は免疫応答による肝炎発症が主体であり,免疫不全を呈するHIV重感染例では,抗レトロウイルス療法開始後16週以内に特異的な臨床像である免疫再構築症候群を呈すると報告されている.近年,HIV抗体陽性者を中心に性交渉によるGenotype AのHBV感染が蔓延している.今回,当院におけるHIV/ HBV重感染例の臨床的特徴を検討し,特に抗HIV治療による免疫機能回復後に発症するHBVによる免疫再構築肝炎の特徴を検討した.【方法】2006年3月以降にHBV感染と診断され,ART治療を開始したHIV合併HBV感染者6例を対象とし,その臨床的特徴および免疫機構の指標としてCD4/CD8リンパ球比を継時的に検討した.【成績】HIV/ HBV重感染例は6例で,平均年齢43歳,全例が男性,同性愛者(MSM)5例(83%)であり,そのうち1例はHCVも合併していた.1例は,2004年10月に急性B型肝炎を発症し,IFN治療を行いその際HIV抗体は陰性であったが,8年後にHIV抗体が陽性と判明し,ART治療を開始している.また,ART治療は2例がラミブジン(3TC),4例がエムトリシタビン(FTC)を用い,ART治療開始時のHBV-DNAウイルスは平均6.6 log copies/ml で治療開始16週後のHBV-DNAウイルスは3例が検出せずの結果であった.初感染後の病態は,自然経過の肝炎発症が2例(33%),抗HIV療法開始後の免疫再構築症候群による肝炎発症が2例(33%),肝炎非発症が2例(33%)であった.B型肝炎免疫再構築症候群により2例がHBs抗原陰性化し,そのうち1例がHBs抗体陽性化した.CD4/CD8リンパ球比は治療開始時,CD4/CD8=0.31で,治療開始16週後は,CD4/CD8=0.39であり,両群間において差を認めなかった.【結論】 HIV合併HBV感染例において,CD4/CD8リンパ球比とHBs抗原消失に関連は認めなかったが,免疫再構築症候群による肝炎の発症が,HBV-DNAの早期消失およびHBs抗原陰性化・HBs抗体陽性化と関連していた.
索引用語 HBV, HIV