セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-基礎3

タイトル 肝P-296:

C型肝炎ウイルスによる肝性中性脂肪リパーゼの発現に及ぼす影響について

演者 篠原 義康(横浜市立大・消化器内科)
共同演者 留野 渉(横浜市立大・消化器内科), 米田 正人(横浜市立大・消化器内科), 今城 健人(横浜市立大・消化器内科), 小川 祐二(横浜市立大・消化器内科), 桐越 博之(横浜市立大・消化器内科), 池田 正徳(岡山大大学院・腫瘍ウイルス学), 加藤 宣之(岡山大大学院・腫瘍ウイルス学), 前田 慎(横浜市立大・消化器内科), 中島 淳(横浜市立大・消化器内科), 斉藤 聡(横浜市立大・消化器内科)
抄録 【目的】肝性中性脂肪リパーゼ (HTGL)はリポ蛋白である中間比重リポ蛋白(IDL)粒子中の中性脂肪を分解してIDLから低比重リポ蛋白(LDL)へと転換し,この時に同時にapo-Eも遊離させる.C型慢性肝炎患者ではウイルス除去後にLDLコレステロール値が高値になる現象が報告されている.今回,我々はC型肝炎ウイルス(HCV)のHTGL発現への影響を明らかにした.【方法】 (1)HCVレプリコン細胞であるOR6細胞と,OR6細胞からインターフェロンを投与してHCV遺伝子を排除したOR6c細胞を用いて培養液中の脂質プロファイルを解析した.またHTGLの発現をリアルタイムPCRやWestern Blotting法を用いて比較検討した.(2)C型肝炎患者41例と対照として非アルコール性脂肪性肝炎患者32例, B型肝炎患者33例の肝生検検体を用いてリアルタイムPCRでHTGLの遺伝子発現を比較検討した.【結果】(1)HCVレプリコン細胞の培養液中の中性脂肪がIDLレベルではHCVが発現しているOR6細胞で高値であった.またHTGLの発現はOR6細胞で有意に減少していることが明らかとなった(p<0.01).(2)非アルコール性脂肪性肝炎患者やB型肝炎患者に比較してC型肝炎患者の肝生検検体ではHTGL遺伝子発現が有意に低下していた (p<0.01).また, 非アルコール性脂肪性肝炎患者やB型肝炎患者に比べてC型肝炎患者の血清LDLコレステロール値は有意に低下していた (p<0.01).【結論】HCVによりHTGLの発現が低下することがin vitroおよびin vivoの系で示された.またHTGLの発現低下によりIDLが貯留し,LDLが低下することが明らかとなった.これはHCVの感染に重要なapo-Eを含んだリポ蛋白が増加することでウイルスに適した環境が作られていると考えられる.
索引用語 HCV, 肝性中性脂肪リパーゼ