セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療15

タイトル 肝P-300:

シメプレビル(TMC435)第III相臨床試験時のNS3遺伝子多型および変異

演者 平松 直樹(大阪大・消化器内科)
共同演者 竹原 徹郎(大阪大・消化器内科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科), 岡上 武(済生会吹田病院・消化器内科), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター), 坪内 博仁(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 八橋 弘(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 石堂 美和子(ヤンセンファーマ(株)), 後藤 章一郎(ヤンセンファーマ(株)), 林 紀夫(関西労災病院・消化器内科)
抄録 【目的】シメプレビルは,C型肝炎ウイルス(HCV)に対する1日1回経口投与の次世代NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬(PI)である.シメプレビルの第III相臨床試験時に認められたHCV NS3領域の遺伝子多型および変異について検討した.
【方法】国内第III相臨床試験に参加した初回治療例および再燃例を対象に,HCV NS3領域でPIへの感受性に影響する部位についてサンガー法によるダイレクトシークエンスによりベースライン時点での多型を検討し,海外第III相臨床試験結果と比較した.また,シメプレビル3剤併用療法でSVRが得られなかった症例(Non-SVR)において,NS3領域に認められた変異について検討した.
【成績】国内臨床試験に組み入れられた患者の大部分はgenotype-1bだった.初回治療201例,再燃78例において,ベースライン時点での主要なNS3多型はS122G,S122T,Q80Lであり,いずれもin vitro試験でシメプレビルの感受性への影響は認められなかった.シメプレビル3剤併用療法を行った初回治療147例および再燃例78例のNon-SVRは,それぞれ13例と5例であった.そのうち初回治療13例中12例,再燃例では塩基配列解析を行った4例中3例でNS3変異が検出された.主要なNS3単独変異箇所は168(主にD168V)であった.海外臨床試験においても,genotype-1bにおける主要なNS3多型はシメプレビルへの感受性への影響が示唆されず,また,Non-SVR例において認められた主要なNS3変異はD168Vであった.
【結論】genotype-1b患者で主に認められたNS3遺伝子多型は,前臨床薬理試験成績からシメプレビルの感受性に影響を及ぼさないことが示唆された.genotype-1bのNon-SVR例において認められる主要なNS3単独変異は,D168Vであった.
索引用語 シメプレビル, 変異