抄録 |
【目的】難治性C型肝炎に対する3剤併用療法は,従来の治療と比較しSVR率が高いことが知られている.しかしながら再燃,無効例は未だ存在している.近年Ezetimibe投与によるHCVウイルス感染抑制効果が報告されている.今回我々は三剤併用療法にEzetimibeを併用した治療成績について検討したので報告する.【対象と方法】2011年12月から難治性C型慢性肝炎として3剤併用療法を施行した24例(男/女11/13)を対象とした.平均年齢64.8才(56-74),BMI23.9,HOMA-IR2.2,T.chol/TG/LDL166/94/102,HCV-RNA量6.4LogIU/L,初回/再燃/無効11/2/11例,IL28BTT type/TG type 14/10例,core領域aa70 wild/mutant12/12例,ITPA(C/C)/(C/A.A/A)19/5例である.治療前に高脂血症と診断された症例は14例,HMG-CoA還元阻害剤等の服薬症例は10例であった.三剤併用療法開始時に,高脂血症全例に対しEzetimibeへ変更または投与開始した.三剤併用療法開始後のウイルス動態及び,SVR率,Ezetimibe投与に伴う副作用についてEzemitibe併用群(14例男/女:8/6)をA群,非併用群(10例男/女:3/7)をB群の2群に分け比較検討した.【結果】ウイルス陰性化率はA群,B群とも100%であった.A群で6週,B群で5週までに全例陰性化した.SVR率はA群93%(13/14)/B群70%(7/10)であった.治療歴(初回/再燃/無効)別SVR率はA群100%(4/4)/100%(1/1)/89%(8/9)/B群86%(6/7)/100%(1/1)/0%(0/2)あった.IL28B (TT/TG)別SVR率はTTtypeでA群89%(8/9)/ B群100%(5/5),TG typeでA群100%(5/5)/B群40%(2/5)であった.core領域aa70 wild/mutant 別SVR率はwild typeでA群100%(6/6)/B群83%(5/6),mutant typeでA群88%(7/8)/B群50%(2/4)であった. Ezetimibe投与による明らかな有害事象は認めなかった.【結論】難治性C型慢性肝炎に対する3剤併用療法においてEzetimibe併用は,更なるSVR率向上が得られる可能性が示唆された. |