セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療17

タイトル 肝P-310:

FibroScanを用いたC型慢性肝炎患者のインターフェロン治療後肝発癌予測

演者 成田 諭隆(順天堂大静岡病院・消化器内科)
共同演者 玄田 拓哉(順天堂大静岡病院・消化器内科), 村田 礼人(順天堂大静岡病院・消化器内科), 廿楽 裕徳(順天堂大静岡病院・消化器内科), 佐藤 俊輔(順天堂大静岡病院・消化器内科), 金光 芳生(順天堂大静岡病院・消化器内科), 石川 幸子(順天堂大静岡病院・消化器内科), 菊池 哲(順天堂大静岡病院・消化器内科), 森 雅史(順天堂大静岡病院・消化器内科), 平野 克治(順天堂大静岡病院・消化器内科), 飯島 克順(順天堂大静岡病院・消化器内科), 市田 隆文(順天堂大静岡病院・消化器内科)
抄録 【目的】現在,C型肝炎患者に対しインターフェロン(IFN)を中心とする治療が広く行われている.IFNはHCV排除による肝病態進行抑制だけでなく,ウイルス学的著効(SVR)が得られなくても肝細胞癌(HCC)発症リスクを軽減する効果が示唆されている.しかし一方でSVR症例にHCCが発症する例が少なからず認められる.臨床上,C型肝炎患者の管理に発癌危険因子の評価は重要だが,IFN治療後患者の発癌危険因子については確立されたものがない.近年,発癌と密接に関連する肝線維化の非侵襲的代替検査としてFibroScanによる肝硬度測定(LSM)の有用性が多数報告されている.今回我々はIFN治療後のC型肝炎患者における発癌危険因子をLSMに注目して検討した.【方法】当院で肝生検とLSM施行後にIFN治療が行われた151例のC型肝炎患者について後方視的に解析した.HCC発症に寄与する要因についてCox比例ハザードモデルを用いて解析した.累積肝発癌率はKaplan-Meier法で算出し,log-rank testで検定した.【結果】観察期間中央値600日で対象の151例中,9例(6.0%)にHCCが発症した.肝発癌に寄与する因子として単変量解析で年齢,LSM,血小板数,AFP値,IFN治療効果が抽出された.多変量解析ではLSM≧14.0kPa(HR5.58,95%CI 1.32-23.64,P=0.02),non-SVR(HR8.28,95%CI 1.01-68.05,P=0.049),血小板数<14.0万(HR5.59,95%CI 1.14-27.53,P=0.034)が独立した危険因子として抽出された.対象患者をこれら危険因子の数で層別化し累積発癌率を検討したところ,3因子あり,2ないし1因子あり,危険因子なしの3群の3年累積発癌率はそれぞれ59.6%,8.2%,0%であった(P<0.001).【結論】LSMと血小板数,IFN治療効果を組み合わせることで,IFN治療後C型慢性肝炎患者のHCC発症リスクの層別化が可能だった.これによりIFN治療を受けるC型肝炎患者に対するFibroScanを用いたLSM施行の有用性が示唆された.
索引用語 Fibroscan, HCC