セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療18

タイトル 肝P-313:

多施設共同研究によるC型慢性肝炎に対するPEG-IFNα2b・RBV療法の肝発癌抑止効果

演者 小川 栄一(九州大関連肝疾患研究会)
共同演者 古庄 憲浩(九州大関連肝疾患研究会), 梶原 英二(九州大関連肝疾患研究会), 高橋 和弘(九州大関連肝疾患研究会), 野村 秀幸(九州大関連肝疾患研究会), 河野 聡(九州大関連肝疾患研究会), 田邉 雄一(九州大関連肝疾患研究会), 佐藤 丈顕(九州大関連肝疾患研究会), 中牟田 誠(九州大関連肝疾患研究会), 古藤 和浩(九州大関連肝疾患研究会), 東 晃一(九州大関連肝疾患研究会), 下田 慎治(九州大関連肝疾患研究会), 林 純(九州大関連肝疾患研究会)
抄録 【目的】C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン(PEG-IFN)α2b・リバビリン(RBV)療法による抗ウイルス効果予測は多く報告されているが,発癌抑止効果に関しての解析は少ない.今回,PEG-IFNα2b・RBV療法後の肝発癌に関して,多施設で前向きに調査した.【方法】2004年12月から2009年11月までPEG-IFNα2b・RBV療法を受けた,肝癌歴のないC型慢性肝炎1013例(男性498例,女性515例,平均年齢58歳)を対象とした.治療後の肝発癌を,肝病態(非肝硬変863例,肝硬変150例)および治療効果別(SVR,Relapse,NVR)に分けて前向きに検討した(治療後観察期間中央値 3.6年,範囲 0.6-7.0年).【成績】全体の肝発癌は47例(4.6%)で認められた.多変量ロジスティック解析による肝発癌に関与する因子は,60歳以上(HR 2.81,P=0.004),男性(HR 2.98,P=0.003),血小板 15万未満(HR 4.04,P=0.004),AFP 10 ng/mL以上(HR 2.50,P=0.03),肝硬変(HR 3.22,P=0.01),NVR(HR 3.72,P=0.001)であった.非肝硬変例の5年累積発癌率は,SVR 1.7%,Relapse 3.2%,NVR 7.6%とSVR・Relapse例で有意に低かった(P=0.003,P=0.03).同様に,肝硬変例の5年累積発癌率も,SVR 18.9%,Relapse 20.8%,NVR 39.4%とSVR・Relapse例で有意に低かった(P=0.03,P=0.04).SVR後の肝発癌は13例(非肝硬変6例,1.2%,肝硬変7例,13.2%)で認められ,特に非肝硬変の肝発癌例は,全例60歳以上の高齢者に認められた.【結語】肝癌歴のないC型慢性肝炎において,肝硬変の有無に関わらず,治療中のウイルス消失は肝癌抑止と関連した.
索引用語 肝癌, ペグリバ