セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療18

タイトル 肝P-314:

C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン+リバビリン併用療法の肝発癌への影響 -多施設共同研究-

演者 高見 史朗(大津市民病院・消化器内科)
共同演者 竹内 孝幸(滋賀肝臓スタディーグループ), 土井 久和(滋賀肝臓スタディーグループ), 近藤 雅彦(滋賀肝臓スタディーグループ), 塩谷 淳(滋賀肝臓スタディーグループ), 藤本 昌澄(滋賀肝臓スタディーグループ), 赤松 尚明(滋賀肝臓スタディーグループ), 奥村 嘉章(滋賀肝臓スタディーグループ), 中島 年和(滋賀肝臓スタディーグループ), 八木 勇紀(滋賀肝臓スタディーグループ), 塚田 良彦(滋賀肝臓スタディーグループ), 仲原 民夫(滋賀肝臓スタディーグループ), 高島 英隆(滋賀肝臓スタディーグループ), 重松 忠(滋賀肝臓スタディーグループ), 小泉 聡(滋賀肝臓スタディーグループ), 藤山 佳秀(滋賀肝臓スタディーグループ)
抄録 【目的】C型慢性肝疾患に対するペグインターフェロン+リバビリン併用療法(PEG/RBV療法)が,肝細胞癌(HCC)発症に与える影響について検討する目的で,県内15施設による多施設共同研究を行った.
【方法】PEG/RBV療法を施行されたHCCの既往のないC型慢性肝疾患患者のうち,治療効果が判明している769例(男/女=412/357例,平均年齢55.1歳,1型/2型/3型=505/262/2例)を対象とした.治療終了後の観察期間にHCCを発症した症例のHCC累積発症率を患者背景や治療効果別に比較検討した.
【結果】PEG/RBV療法の治療効果(著効/再燃/無効・中止)は,1型:251/129/125例,2型:231/25/6例であった.治療終了後の平均観察期間は46.6月で,この観察期間中に17例(著効例4例,再燃例3例,無効・中止例10例)にHCCを発症した.HCC発症までの期間は治療終了後平均31.4か月,治療効果別の5年累積HCC発症率は,著効例1.2%,再燃例2.4%であり,無効・中止例の10.8%と比較して有意に低率であった(p<0.001).HCC発症例は非発症例と比較して,男性,高齢者,1型の症例が多く,血小板数,アルブミン値が低値,AFP値が高値であった.HCC発症の高危険群を,60歳以上,男性,1型,PLT値15×104/mm3未満と設定すると,高危険群56例の累積HCC発症率は,治療効果による差を認めなかった.高危険群のうち非著効となった31例中11例でIFN再投与やIFN少量長期投与が施行されたが,非投与の20例と累積HCC発症率に差を認めなかった.
【結論】PEG/RBV療法により著効,再燃となった症例は,治療により肝発癌が抑制される.しかし,肝発癌高危険群では,PEG/RBV療法の肝発癌抑制効果は低く,対策が必要となる.これらの症例へのIFN再治療の肝発癌抑制効果は,今回の検討では確認できなかったが,さらに長期の経過観察が必要である.
索引用語 ペグインターフェロン+リバビリン併用療法, 肝発癌