セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療18

タイトル 肝P-315:

C型肝炎に対するペグインターフェロン+リバビリン併用療法後の発癌についての検討

演者 村尾 道人(藤田保健衛生大・肝胆膵内科)
共同演者 川部 直人(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 橋本 千樹(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 原田 雅生(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 新田 佳史(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 中野 卓二(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 嶋崎 宏明(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 水野 裕子(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 菅 敏樹(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 中岡 和徳(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 大城 昌史(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 高川 友花(藤田保健衛生大・肝胆膵内科), 吉岡 健太郎(藤田保健衛生大・肝胆膵内科)
抄録 【目的】ペグインターフェロン(PEG-IFN)+リバビリン(RBV)併用療法は,C型慢性肝炎1型高ウィルス量に対し2005年より,2型高ウィルス量に対しても2006年より適応となった.しかしPEG-IFN+RBV併用療法施行後,稀にSVR例でも発癌する例がある.今回我々はPEG-IFN+RBV併用療法後の発癌について検討した.【対象】2005年よりPEG-IFN+RBV併用療法を行ったC型慢性肝炎236例,うちgenotype1型148例,genotype2型88例.【結果】genotype1型のSVR率は48%(72例/76例),genotype2型83%(15例/73例)であった.肝細胞癌(HCC)発症率は全体で6%(16例/220例)であった.genotype1型で8%(13例/135例),SVR例では4%(3例/69例)で,Non-SVR例で13%(10例/66例)であった.Genotype2型3%(3例/85例).SVR例では3%(2例/71例)で,Non-SVR例で6%(1例/14例)であった.SVR例ではNon-SVR例よりHCC発症率は有意に低かった(p=0.0102).BR(Biochemical responder)率はHCC例18%(2例/9例)で非発症例51%(41例/39例)より有意に低かった(p=0.0394).HCC発症は全例治療開始時の年齢が55歳以上で,治療前AST・ALTが異常値であった.肝線維化度はF1:1例,F2:5例, F3:7例,F4:2例 で活動度はA1:3例,A2:10 例, A3:2例であった.発癌に関与する因子として単変量解析では線維化度(p<0.0001),治療前血少板数(p<0.0001),年齢(p=0.001),活動度(p=0.014),治療前AST値(p=0.0238),BR率(p=0,0472)が検出された.多変量解析では線維化度(p=0.012),年齢(p=0.020)が選択され,治療前AST値(p=0.085)が傾向として選択された.【結論】PEG-IFN+RBV併用療法後SVRはHCC発症を有意に低下させるが,3%の発癌率を認めており慎重な経過観察が必要である.またNon-SVR例で非BR例,治療開始時年齢55歳以上,線維化度F3以上,治療前AST値 70IU/ml以上の症例では治療後でも厳重な経過観察が必要である.
索引用語 C型肝炎, 肝細胞癌