セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療19

タイトル 肝P-316:

IL28B SNP解析による,慢性C型肝炎治療方針決定への影響

演者 杉本 和史(三重大附属病院・消化器・肝臓内科)
共同演者 為田 雅彦(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 白木 克哉(三重大附属病院・消化器・肝臓内科), 竹井 謙之(三重大附属病院・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】2009年にIL28B上流の1塩基多型(SNP)がHCVの自然排除,IFN治療に多大な影響を与えることが本邦を始めとする各国より相次いで報告された.当院でも2011年6月より高度先進医療の一環として治療前のIL28B SNPを解析している.今回,我々は,IL28B SNP解析結果と治療予後の関連,および解析結果が治療方針決定にいかなる影響を与えたかを検討した.【方法】これまでに当院にてIL28B SNP (rs8099917)を解析したHCV関連肝疾患患者を対象とした.SNPはToyoboのGENECUBEにより解析した.同時にHCVコア蛋白アミノ酸変異をdirect sequenceにより解析した.SNP解析前の治療歴,治療効果,解析後の治療,予後を追跡調査した.【成績】SNP解析を行ったHCV遺伝子型1b患者は164例であり,このうち98例(59.8%)はT/T (major),66例(40.2%)がT/GもしくはG/G (minor)であった.major群では83%がコア70番アミノ酸wildであったのに対し,minor群では68%に70番アミノ酸の変異を伴っていた.Major群では前治療歴(PEGIFN+Rib)を有する者は21%であったのに対し,minor群では56%に前治療歴があった.Major群で前治療歴を有さない28例に2剤治療が施行され,18例がVRであり,3剤治療を施行された22例中18例がVRであった.現在治療考慮中症例は12例あった.7例はHCC,肝不全で治療を断念せざるを得なかった.Minor症例では7例に2剤治療が施行されたが,全例NRであった.19例に3剤治療が施行され,VRが得られた症例は12例であった.SNP解析の結果治療を断念した症例は14例,うち4例にIFNの少量長期療法が導入され,1例でSVRが得られた.【結論】遺伝子解析はIFN予後予測に有用である.治療反応がよいと考えられる症例にも未治療のままで経過し,HCCや肝不全症状が出現したものも少なからず存在するため,今後の患者への啓蒙が重要である.また,major,minorいずれにおいても治療効果がSNP結果と一致しない症例も多く,SNP解析とresponse guide therapyを組み合わせる必要があると考えられる.
索引用語 HCV, 遺伝子解析