セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

NAFLD・NASH6

タイトル 肝P-320:

マウス脂肪肝炎における制御性T細胞の発現解析

演者 山口 寛二(京都府立医大・消化器内科)
共同演者 西村 健(京都府立医大・消化器内科), 角田 圭雄(京都府立医大・消化器内科), 光吉 博則(京都府立医大・消化器内科), 南 祐仁(京都府立医大・消化器内科), 岡上 武(済生会吹田病院), 伊藤 義人(京都府立医大・消化器内科)
抄録 「目的」脂肪肝炎の発症における獲得免疫の関与を明らかにすべく,風船腫大した肝細胞の免疫原性と加齢に伴う免疫老化に注目し,マウス脂肪肝炎モデルにおいて免疫老化にかかわる制御性T細胞の発現解析を行った.「方法」C57/BL6マウスに普通食,高脂肪食,2種類の高脂肪高コレステロール食を24週間投与して脂肪肝炎モデルを作成した.8,16,24週で末梢血及び脾臓,肝臓からリンパ球を単離し,T細胞の制御性マーカーである,programmed death(PD)-1, Lymphocyte-activation gene (LAG)3, CD25, Cytotoxic T-Lymphocyte Antigen (CTLA)4の発現解析を行った.さらに,制御性マーカー発現によるT細胞の機能解析を目的に細胞内サイトカインを測定した.「成績」PD-1とLAG3が脂肪肝マウスの肝内浸潤T細胞において発現が増加していたが,その変化は末梢血や脾臓では軽微であった.PD-1はCD4及びCD8陽性細胞で発現が増加していたが,LAG3はCD8かつPD-1陽性細胞で増加していた.細胞内サイトカインの検討ではPD-1発現に伴うTNFαの減少がみられた.「考案」これまでの報告(Kassel et al. Hepatology 2009) にもあるように脂肪肝炎に伴い,PD-1陽性T細胞の増加がみられた.加齢に伴う免疫老化ではT細胞表面に制御性マーカーであるPD-1が発現しT細胞機能低下をもたらすばかりでなく,C/EBPαなどの転写因子を介してオステオポンチンなどの炎症性サイトカイン産出を促すと報告されている(Shimatani et al. PNAS 2009) が,脂肪肝では週令以上にPD-1の発現が増加していた.またPD-1の発現は炎症が比較的弱い高脂肪食負荷マウスでもFACS解析を行うことで確認できた.PD-1陽性のT細胞はCD4,CD8陽性細胞共に機能低下の可能性が示唆された.「結論」マウス脂肪肝では肝内浸潤T細胞に制御性マーカーの発現上昇がみられ,加齢に伴う免疫老化を助長していると考えられた.
索引用語 脂肪肝炎, PD-1