セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

NAFLD・NASH6

タイトル 肝P-321:

高脂肪食投与にも関わらずII型糖尿病モデル(SDTラット)における脂肪肝を抑制する因子についての検討

演者 中出 幸臣(愛知医大病院・消化器内科)
共同演者 大橋 知彦(愛知医大病院・消化器内科), 山本 高也(愛知医大病院・消化器内科), 佐藤 顕(愛知医大病院・消化器内科), 伊藤 清顕(愛知医大病院・消化器内科), 中尾 春壽(愛知医大病院・消化器内科), 米田 政志(愛知医大病院・消化器内科)
抄録 【目的】近年増加している非アルコール性脂肪性肝炎(NAFLD)は糖尿病をよく合併していることが知られている.NAFLD動物モデルは高脂肪食によって脂肪肝を誘発することが知られている.我々はこれまでにII型糖尿病モデルであるSDTラットによる高脂肪食NAFLD動物モデル作成を試みたが,脂肪肝を誘発しなかった.そこで今回は高脂肪食投与にも関わらず脂肪肝を抑制する因子について検討するために,アディポネクチン(Adipo)と肝内脂質代謝関連遺伝子発現に関して検討を行った.【方法】8週齢雄性SDTラットにコントロール食および高脂肪食を12週間にわたり摂食させ犠死させた.血液,肝および精巣上体脂肪を採取し肝重量および精巣上体脂肪量を測定した.血清中性脂肪(TG)およびAdipoを測定し,精巣上体脂肪のAdipo量を測定した.採取した肝組織よりreal time PCR法にて肝内の脂質代謝関連遺伝子発現について検討した.【成績】高脂肪食群は体重および精巣上体脂肪量はコントロール群に比べ有意に増加した.血清TG値は高脂肪食群で増加傾向を示し,血清Adipo量は有意に増加した.一方精巣上体脂肪のAdipo量は2群間で有意差がなかった.肝内の脂肪取り込みに関わるL-fatty acid binding protein (L-FABP) mRNAは高脂肪食群で有意に低下し,肝脂肪排出に関わるmicrosomal triglyceride transfer protein (MTTP) mRNAも有意に低下していた.一方,肝脂質合成に関わるstearoyl-coenzymeA desaturase (SCD-1) mRNAに変化なく,β酸化に関わるacyl-coenzyme A oxidase 1(ACOX-1) mRNAは有意に低下していた.【結論】高脂肪食摂食はSDTラットにおいては血中Adipoを増加させ,肝内のL-FABP,MTTP,ACOX-1mRNAの発現を低下させた.肥満にも関わらずAdipoが増加し,それによって脂肪取りこみに関わるL-FABPの発現が低下し,肝脂肪排出およびβ酸化が抑制され,脂肪肝が抑制されている可能性が示唆された.
索引用語 高脂肪食, NAFLD