セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

NAFLD・NASH7

タイトル 肝P-325:

人間ドックにおける末梢血液検査値と脂肪肝の関係

演者 福沢 嘉孝(愛知医大医学教育センター)
共同演者 恒川 幸司(愛知医大医学教育センター), 林 省吾(愛知医大医学教育センター), 山田 晴生(JAあいち健診センター), 米田 政志(愛知医大・消化器内科)
抄録 【目的】血小板数 (Plt.) は脾機能亢進を伴う慢性肝疾患で低下し,その進行度指標となることは広く知られている.Plt.は血管壁傷害時,内皮下組織に粘着し血栓形成することから動脈硬化進展にも密接に関連する.一方,白血球 (WBC) も,それ自体の凝集による血管内皮障害による血栓形成促進など動脈硬化進展と深く関連する.そこで,末梢血因子とMetS上流にある脂肪肝 (FL) との関連性を検討した.【方法】対象は腹部US検診を受診した1,810名(49.9±10.2歳)である.内訳は男性1,424名(49.9±10.2歳),女性386名(44.8±11.3歳)である.方法は全例に同意取得し腹部USを実施した.【成績】USでFLは698名(51.5±8.1歳)(約38.6%).男性661名(51.5±8.1歳)(約46.4%),女性37名(51.2±8.1歳)(9.6%)であった.Plt.はT-Cho,L/H,ChE,喫煙頻度(SI),T-Bilと相関を認めたが,FL・肝機能検査(LF)等とは相関を認めなかった.Plt.を独立変数とした各種検査項目との重回帰分析では,Plt.のF値はAge19.6,HT6.97,WBC189.2,Hb16.1,T-Bil41.6,T-Cho22.4,L/H23.2,FBS4.64,SI24.5と相関を認めたが,FLとは1.56,ALT0.07,AST0.05,γ-GTP0.05と相関を認めなかった.一方,WBCはFLをはじめ脂質・FBS,LF値等と相関関係を認めた.WBCを独立変数とした各種検査項目との重回帰分析ではF値は,W123.3,BMI 119.6,FL104.5,BP14.2,HbA1c62.9,UA39.4,TG103.7,L/H136.1,ALT39.7,γ-GTP13.7,SI298.0と密接な関係を認めた.今回検討の対象受診者群では,WBC6,700/μl以上は488名,その内FLは254名と52.0%に認められた.WBC6,700/μl以上のFL群のHbA1c,L/Hは,WBC6,699/μl以下のFL群と比較して有意に高値であった.【結論】Margolisらは,WBC6,700/μl以上では心血管障害発症や全死亡を予測する危険因子となることを72,242例の対象で明確にしている.以上から,FLにおけるWBC増加は動脈硬化進展に密接に関連している可能性があり,動脈硬化進展の危険因子の一つと考えられる.
索引用語 白血球数, 動脈硬化