セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

NAFLD・NASH7

タイトル 肝P-328:

NAFLDにおける睡眠障害の検討

演者 今泉 博道(福島県立医大附属病院・消化器内科)
共同演者 高橋 敦史(福島県立医大附属病院・消化器内科DELIMITERわたり病院・消化器内科), 林 学(福島県立医大附属病院・消化器内科), 岡井 研(福島県立医大附属病院・消化器内科), 菅野 有紀子(福島県立医大附属病院・消化器内科), 阿部 和道(福島県立医大附属病院・消化器内科), 佐藤 祐二(わたり病院・外科), 安斎 幸夫(わたり病院・消化器内科), 丹治 伸夫(わたり病院・消化器内科), 大平 弘正(福島県立医大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】,睡眠障害とNAFLDの関連は不明な点が多く,その関連を明らかにすることを目的とした.【方法】健診受診者で腹部超音波検査と血液検査を実施し,睡眠アンケートで回答を得た2419例,平均年齢63.0歳(男性968例,平均62.8歳,女性1451例,平均63.1歳)を対象とした.睡眠障害は,睡眠時間,中途覚醒,睡眠時無呼吸,異常知覚,眠剤服用などにつき自記式アンケートを行い,脂肪肝の頻度及びその有無による睡眠障害や血液検査成績,BMI,合併症の有無を検討した.【成績】脂肪肝は2419例中537例(22.2%)で認め,男性968例中263例(27.2%)女性1451例中274(18.9%)で男性の脂肪肝割合が有意に高かった.年齢別では男性で40歳台(38.0%),女性では60歳台(23.0%)で最も脂肪肝の割合が高かった.平均睡眠時間(時間)は全体7.13±1.12,男性7.24±1.14,女性6.95±1.07と男性で有意に長かった(P<0.001).脂肪肝の有無での睡眠時間はそれぞれ7.09±1.17,7.14±1.11であり有意差は認めなかったが,男女別では男性7.24±1.17,7.42±1.13,女性6.93±1.16,6.95±1.05と男性の脂肪肝群で有意に短かった(p=0.0309).血液検査は,脂肪肝群でHDL-Cが有意に低下し,他の項目はすべて有意に上昇していた.また,脂肪肝群でBMIが有意に高値で,高血圧と脂質異常症の頻度も有意に高かった.さらに,睡眠時無呼吸の割合が脂肪肝の有無でそれぞれ17.7,7.6%で,脂肪肝群で有意に高かった(p<0.001).睡眠時間別では睡眠6時間未満での脂肪肝の比率が27.4%と最も高く,睡眠6時間での脂肪肝の割合が21.8%と最も低かった.また,睡眠6時間未満の脂肪肝55例中,睡眠時無呼吸は13例(23.6%)であった.【結論】睡眠障害,特に不眠症などの睡眠時間の短縮や睡眠時無呼吸は脂肪肝のリスクとなることが確認された.NAFLDにおいて不眠症や睡眠時無呼吸が新たな治療ターゲットの一つになりうると考えられた.
索引用語 NAFLD, 睡眠障害