セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

NAFLD・NASH7

タイトル 肝P-329:

大うつ病合併NAFLD患者の治療効果における,うつ病の臨床病期が与える影響

演者 留野 渉(横浜市立大附属病院・消化器内科)
共同演者 米田 正人(横浜市立大附属病院・消化器内科), 結束 貴臣(横浜市立大附属病院・消化器内科), 小川 祐二(横浜市立大附属病院・消化器内科), 今城 健人(横浜市立大附属病院・消化器内科), 桐越 博之(横浜市立大附属病院・消化器内科), 斉藤 聡(横浜市立大附属病院・消化器内科), 前田 愼(横浜市立大附属病院・消化器内科), 中島 淳(横浜市立大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】近年NAFLDに高頻度にうつ病を合併することが報告されている.うつ病に対する治療は寛解前の急性期治療と寛解後の維持療法に大別される.うつ病合併NAFLDの臨床的特徴と治療効果反応を解析し,うつ病治療の臨床病期がNAFLDの治療効果へ及ぼす影響を検討した.【方法】2002年7月から2011年7月までに肝生検を施行したNAFLD258例について,うつ病罹患歴と各種因子を検討した.また治療導入から1年間の治療反応をうつ病罹患歴の有無,及びうつ病の寛解前後により比較した.【成績】31例がうつ病の既往もしくは加療中であった.うつ病合併NAFLDは非合併例に比較し肝組織で脂肪化グレード,NAS,トランスアミナーゼ,フェリチンは有意に高値であった.1年間の通常の栄養・生活指導に対する反応で,うつ病非合併症例ではトランスアミナーゼ,体重は有意に改善が得られたがうつ病合併症例ではトランスアミナーゼ,体重の治療反応は認めなかった.うつ病合併症例をうつ病寛解前後に分けて比較すると,うつ病寛解前の急性期治療中の症例ではNAFLDの治療効果がより乏しかった.【結論】うつ症状がある患者は従来の栄養,生活習慣指導では達成困難なことが想定され,有用性を認めなかった.うつ病の臨床病期はNAFLDの治療効果に影響し,特に寛解前の急性期治療期はNAFLDの食事療法に抵抗性を示す可能性が示唆された.一方でうつ病の治療が寛解して維持療法中の症例では,通常の治療に反応する可能性がある.うつ病合併NAFLD症例の治療ではうつ病の臨床病期を念頭において,特にうつ病寛解前の急性期治療中の症例では,肝臓専門医,精神科専門医,管理栄養士がより連携して実現,維持が可能な新規栄養療法,生活習慣改善プロトコールの開発,導入が必要と考えられた.うつ病合併NAFLDの病態でフェリチンが高いことを考慮し,従来の体重減少を主とした指導ではなく,鉄制限食などの特殊指導が有用性である可能性が示唆された.
索引用語 NAFLD, 大うつ病