セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝循環・門脈圧亢進症3

タイトル 肝P-331:

バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)難治性肝性脳症,胃静脈瘤に対する経皮経肝的門脈側副血行路塞栓術の治療成績

演者 石川 達(済生会新潟第二病院・消化器内科)
共同演者 窪田 智之(済生会新潟第二病院・消化器内科), 木村 成宏(済生会新潟第二病院・消化器内科), 堀米 亮子(済生会新潟第二病院・消化器内科), 本田 博樹(済生会新潟第二病院・消化器内科), 岩永 明人(済生会新潟第二病院・消化器内科), 関 慶一(済生会新潟第二病院・消化器内科), 本間 照(済生会新潟第二病院・消化器内科), 吉田 俊明(済生会新潟第二病院・消化器内科)
抄録 【目的】経皮経肝的門脈側副血行路塞栓術 (Percutanous transhepatic obliteration:PTO) は静脈瘤出血症例の緊急手段として広く行われていた.しかしPTO では供血路の塞栓後に新たな供血路が発達し,静脈瘤の再発,再出血が生じることが問題とされてきた.経皮経肝的静脈瘤硬化療法(Percutaneus transhepatic sclerotherapy: 以下PTS)はPTO現法を改良したものであり,静脈瘤の供血路から静脈瘤近くまでカテーテルを挿入し,コイルで血流を低下させた後に硬化剤を静脈瘤へ注入し,静脈瘤本体を硬化する治療法である.PTO/PTS は順行性であるため造影検査での血行動態の把握は比較的容易であると考えられているが,経皮経肝的に穿刺するために侵襲性からは第一選択とならないのが現状である.今回当科におけるBRTO難治性肝性脳症,胃静脈瘤に対するPTO/PTSの治療成績,肝予備能の経時的推移を検討した.【方法】胃腎短絡路の認められないB-RTO難治性肝性脳症,胃静脈瘤29例について検討した.症例は平均年齢64.34±14.12歳(32-88歳),男:女= 15: 14,治療目的:肝性脳症 8例, 胃静脈瘤13例,両者ともの治療目的8例,Child-Pugh A:B:C= 5:12:12で成因はHBV/HCV/Dual/Alcohol/IPH/NASH: 3/ 4/ 2/ 10/ 1/ 5である.【成績】PVP は30.83 ± 7.93 cmH2O (20-42 cmH2O)で,手技は全例で成功したが,胃静脈瘤に対するPTO/PTS症例の1例において胃内の異所に静脈瘤の再発を認めた.Child-Pugh Scoreは治療前の8.79±2.02 から,治療3カ月後には7.94 ±2.26と改善を認めた.【結語】PTO/PTSは短絡路閉塞により,門脈圧の増加による合併症も危惧されたが,重篤な合併症は認められなかった.B-RTO難治性肝性脳症,胃静脈瘤症例にPTO/PTSは治療戦略の一つになりうる. また,PTO/PTSにより肝予備能の維持が期待され,BRTO難治例を含めた門脈圧亢進症の治療戦略として有用である.
索引用語 経皮経肝的門脈側副血行路塞栓術, BRTO難治性