セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝循環・門脈圧亢進症4

タイトル 肝P-335:

診断群分類包括評価 (Diagnosis Procedure Combination; DPC)データベースからみた我が国における胃食道静脈瘤破裂の入院後死亡に関わる因子の検討

演者 佐藤 雅哉(東京大・消化器内科)
共同演者 建石 良介(東京大・消化器内科), 康永 秀生(東京大大学院・医療経営政策学), 吉田 晴彦(東京大・消化器内科), 伏見 清秀(東京医歯大大学院・医療政策情報学), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】静脈瘤破裂は肝硬変患者における主要な死因の一つである.静脈瘤破裂後の死亡率は治療の発達により低下していることが報告されているが,単施設からの報告がほとんどである.そこで我々は,全国規模データベース (Diagnosis Procedure Combination database; DPC)を用いて,日本における胃食道静脈瘤破裂に伴う入院死亡率とそれに関わる因子を検討した.【方法】 2007年-2010年の7月より12月,2011年1月より12月,2012年1月より3月の計39か月の間にデータベースに登録された全患者から,入院2日以内にMAP輸血を受けた胃食道静脈瘤患者の中で,Child-Pughスコアが登録された9987人を対象とし,患者背景,在院日数やコスト,死亡率,死亡に関わる因子を一般化推定方程式を用いた多変量解析より検討した.【結果】対象患者の年齢中央値は63歳,男性6867人(68.8%),成因はB型肝硬変374人(3.7%),C型肝硬変 1827人(18.3%),B+C型肝硬変 21人 (0.2%),アルコール性肝硬変 2871人 (28.7%)であった.内視鏡的又はSBチューブによる止血を施行された患者は各々7735人 (77.5%),435人 (4.4%),全患者の在院日数中央値は17日,院内死亡率は16.8%,入院に要したコストは中央値で1069560円であった.入院中死亡に関わる有意な因子は,加齢 (≧80歳 対 ≦59歳Odds ratio [OR]=2.54, p<0.001) (60-79歳 対 ≦59歳OR=1.84, p<0.001),性別 (男性 対 女性 OR=1.19, p=0.01),Child-Pughスコア(Child-C 対 A OR=20.14,p<0.001)( Child-B 対 A OR=2.80, p<0.001),Charlson併存疾患指数 (>5点 対 5点以下 OR =1.29, p<0.001)であった.【結語】種々の治療法の向上にも関わらず,輸血を要する静脈瘤の死亡率は比較的高率であり,高齢・肝機能不良・併存疾患が危険因子であった.DPCデータベースには救急外来での患者死亡は含まれず,実際の死亡率は更に高いと考えられる.
索引用語 DPC, 静脈瘤