セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝循環・門脈圧亢進症4

タイトル 肝P-338:

肝硬変合併血友病患者における内視鏡的静脈瘤結紮術の安全性についての検討

演者 石津 洋二(名古屋大・消化器内科)
共同演者 片野 義明(名古屋大・消化器内科), 今井 則博(名古屋大・消化器内科), 阿知波 宏一(名古屋大・消化器内科), 山田 恵一(名古屋大・消化器内科), 荒川 恭宏(名古屋大・消化器内科), 中野 聡(名古屋大・消化器内科), 葛谷 貞二(名古屋大・消化器内科), 本多 隆(名古屋大・消化器内科), 林 和彦(名古屋大・消化器内科), 石上 雅敏(名古屋大・消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大・消化器内科)
抄録 【目的】食道静脈瘤に対する内視鏡的静脈瘤結紮術の有効性,安全性は確立しているが,先天性凝固障害である血友病患者に対する治療報告は少なく,安全性についても不明である.血友病患者では凝固因子の不足により創傷治癒遅延が生じるといわれている.今回我々は血友病患者に対する内視鏡的静脈瘤結紮術の安全性について検討を行った.
【方法】対象は当院にて2003年2月から2012年5月の間に食道静脈瘤に対して内視鏡的静脈瘤結紮術を行った131人,延べ入院回数232回について検討を行った.その中に血友病患者は5名(血友病A 4例,血友病B 1例)が含まれ,延べ13回の入院治療を行った.血友病患者に対してはガイドラインに従って内視鏡治療前後に凝固因子製剤を予防投与した.内視鏡治療直前のデータを収集し,治療後30日以内の再出血に寄与する因子を統計学的に解析した.
【成績】232回の入院治療後に29回の再出血を認めた.血友病患者においては2回の再出血を認めた.再出血に寄与する因子として肝硬変の病因,血友病合併の有無,性別,緊急・待機治療,治療歴の有無,静脈瘤の形態,Child-Pugh分類,肝細胞癌合併の有無,制酸剤投与の有無,血小板数について検討を行ったところ,単変量・多変量解析ともに,緊急治療(p=0.025;OR 2.756 (95%CI 1.136-6.686)),肝細胞癌合併(p=0.01;OR 1.302-7.299 (95%CI 1.302-7.299))が有意な因子として検出された.一方で,血友病合併の有無は再出血に影響を与えていなかった(p=0.501).
【結論】予防的に凝固因子製剤を投与することで肝硬変合併血友病患者に対しても内視鏡的静脈瘤治療は安全に施行可能である.
索引用語 血友病, 静脈瘤