セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝循環・門脈圧亢進症4

タイトル 肝P-339:

食道静脈瘤に対する内視鏡的静脈瘤硬化療法の穿刺回数と血栓効果の関連

演者 高橋 正憲(さいたま赤十字病院・消化器内科)
共同演者 大津 威一郎(さいたま赤十字病院・消化器内科), 土井 浩達(さいたま赤十字病院・消化器内科), 鎮西 亮(さいたま赤十字病院・消化器内科), 熊谷 純一郎(さいたま赤十字病院・消化器内科), 岡野 尚弘(さいたま赤十字病院・消化器内科), 門 輝(さいたま赤十字病院・消化器内科), 塩屋 雄史(さいたま赤十字病院・消化器内科), 大島 忠(さいたま赤十字病院・消化器内科), 笹島 圭太(さいたま赤十字病院・消化器内科), 甲嶋 洋平(さいたま赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS)は食道静脈瘤(EV)に対する有効な治療法であるが,単回のEISでは治療不十分である症例が少なからず見受けられる.今回EISの穿刺回数と血栓効果の成績を明らかにし,背景因子との関連から,効率的なEISを目的と下EV治療戦略について考察した.【方法】EV合併肝硬変21例 (H24.4~H25.3,予防7,待機14)を対象とし,全例治療前に超音波内視鏡(EUS,細径超音波プローブ,20MHz)を施行した.EIS(22/23G針,6cm内視鏡装着バルーン,空気注入35-40mL)は硬化剤が供血路まで流入した場合を有効とし,本検討では一回の有効なEISが得られた時点で同日の治療を終了とした.治療効果は1週間後のEUSで評価し,1回の穿刺で全EVの血栓化が得られた場合を単回群,非血栓化のEVが残存していた場合を非単回群として分類した.【成績】(1)治療成績:穿刺困難であった3例(F0-1,EV径<1.5mm)を除く18例でEISを行い,13例(72.2%)が単回群,5例(27.8%)が非単回群と判定された.後者については全EVが血栓化するまでEISが行われ,4例が1回,1例が2回の追加穿刺を行った.なお単回例には巨木型静脈瘤を含めたF3症例3例が含まれていた.(2)治療効果と背景因子との関連:肝機能,HCCの有無,初発/再発,硬化剤注入量,貫通静脈の有無,F因子については単回群と非単回群で有意差を認めなかったが,単回群では全例ですべての供血路に連続性を認めたのに対し,非単回群では4/5例で主たる供血路とは連続性を持たない孤立した供血路が観察された(p=0.0016).すなわち単回穿刺での血栓化範囲は,内視鏡所見に関わらずEVと供血路との連続性に依存することが示唆されたことから,治療前におけるEUSでの供血路の観察が治療の効率化には必要と考えられた.【結論】食道静脈瘤に対する効率的な内視鏡的静脈瘤硬化療法には,静脈瘤と供血路との位置関係の把握が重要である.
索引用語 食道静脈瘤, 内視鏡的静脈瘤硬化療法