セッション情報 | ワークショップ10(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)患者にやさしい大腸内視鏡検査の工夫 |
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タイトル | 内W10-6:大腸内視鏡検査中の映像観賞は苦痛を軽減させるか:無作為対照試験 |
演者 | 日暮 琢磨(横浜市立大附属病院・消化器内科) |
共同演者 | 高橋 宏和(横浜市立大附属病院・消化器内科), 中島 淳(横浜市立大附属病院・消化器内科) |
抄録 | 【目的】大腸癌の死亡率は上昇傾向であり、大腸内視鏡検査(CF)はその死亡率を下げうる重要な検査である。しかしCF時における不安や苦痛などによりCFの受容率・再診率は高いとはいえない。CFの苦痛を減らす手段として鎮痛剤や鎮静剤を用いる方法があるが、その副作用やその後のリカバリーの必要性、薬剤コストなどの問題があり、より簡便に苦痛を取り除けることが望ましい。CF中に音楽を聴きながら検査を受けると検査中の苦痛や、必要とする鎮静剤の量が少なく済むという報告があるが、映像観賞のCFへの影響は報告が少ない。今回我々はCF中の映像観賞は苦痛を軽減させるかを検討した。 【方法】当院でスクリーニングCFが予定されていた50人(男31・女19、平均66歳)を対象とし、無作為に映像あり群と映像なし群に割り付けを行った。CO2送気、鎮痙剤、鎮静剤などは一切使用しなかった。シースルーヘッドマウントディスプレイ(MOVERIO EPSON®)を着用し、純粋に視覚刺激のみの影響を評価するために無声映画の観賞を行った。施行医には検査後まで映像の有無はわからないようにし、盲検化して試験を実施した。検査を通じてバイタルサインの測定を行い、検査前と検査後に不安・苦痛・満足度などをVisual Analog Scaleで評価した。 【結果】両群とも有害事象は認めなかった。検査時間・盲腸到達率・バイタルサインは映像あり・なし群ともに有意差は認めなかった。不安、苦痛スコアは両群とも有意差を認めなかったが、満足度は映像あり群が有意に高かった。検査前不安スコアが高い症例は検査で苦痛を感じることが多い傾向にあったが、検査前不安スコアが高い(50以上)症例では、映像により不安、苦痛スコアが改善した。映像あり群の72%が次回も同じ検査を希望したいと回答した。 【結論】映像観賞は鎮痛剤、鎮静剤のような副作用がなく、安全に、また経済的に検査の苦痛や不安などを改善し、満足度を上昇させる有効な方法である可能性が示唆された。映像鑑賞は検査前に不安が強い症例に特に有効であった。 |
索引用語 | 下部消化管内視鏡, 映像鑑賞 |